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購入決定を左右する商品要素を知る~コンジョイント分析の流れを徹底解説~

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こんにちは、マーケティングリサーチコンサルタントの渡邉俊です。
今日は『コンジョイント分析』について詳しく解説をしようと思います。

この分析方法は統計学では昔から存在するもので、マーケティングでは新商品の仕様・機能を検討する際に多用されています。
ただ実験計画法や重回帰分析といったちょっと難しい統計学的な知識が必要となるので、一般の方には何とも取っ付きにくい手法です。

従いまして今回は難しい説明はなるべく省いて、『コンジョイント分析ってどうやればいいのか?』という事を可能な限り分かりやすい言葉で書きました。
興味はあるけど統計学がよく分からない!という方は是非読んで下さい。

コンジョイント分析とは?

購入決定に何が影響しているか?を明確にする

人は購入する商品を選ぶ時、その商品の機能や価格、ブランドなど様々な項目を頭の中で総合的に検討して判断します。

例えば賃貸マンションを借りる時のことを考えてみて下さい。
不動産屋さんに行くと自分が住みたいエリアにある部屋をいくつか紹介してくれますが、1つ1つの物件には部屋の広さ(平米)、部屋の数、最寄駅からの時間、駐車場の有無、月々の家賃などが書かれていて、それらを『何となく頭の中で総合評価』してどこに住むかを考えますよね。

コンジョイント分析は、上記のように商品を総合評価して購入決定(選択)をする時に商品仕様・機能がどの程度購入に影響を与えているかを明らかにする手法です。
要するに、『家賃は安いけど最寄駅からは遠い』のと『家賃は高いけど最寄駅からは近い』のではどちらの方がお客様に好まれるか?、駐車場の有無は購入決定にどのくらい影響するのか?といった事が数値としてアウトプットされる訳です。

コンジョイント分析の調査方法

コンジョイント分析を行う際にはちょっと変わった調査方法を行います。
定量調査(アンケート調査)の中で、以下のように商品の項目を組み合わせたコンジョイントカードというものを複数用意して回答者に提示し、それぞれのカードの評価を取るのです。

例えば賃貸マンションの例では、

といった感じです。

そして回答者はそれぞれのカードの内容を見て、自分の購入したい度合をスコア付けしたり、または購入したい順に並べたりしてもらいます。

普通に『重視度合い』を聴いたらダメなのか?

しかし、購入決定への影響度合を調査するのであれば、以下のようにアンケートでも聴く事もできますよね。

あなたは賃貸マンションを借りる際、以下の項目をどの程度重視いたしますか?

● 部屋の広さ(平米)
● 部屋の数
● 最寄駅までの時間
● 駐車場の有無
● 月々の家賃

重視度を聴くのに一番簡単な方法です。しかしこの聴き方にはちょっと問題点があります。
それは回答者自身もどの項目を重視したのかを正確に答える事ができない場合が多いという事です。

ご自身で賃貸マンションを借りた経験がある方は上記の質問に対する答えを考えてみて欲しいのですが、『部屋の広さ』と『最寄駅までの時間』のどちらをより重視したか、『部屋の数』と『家賃』のどちらをより重視したかを正確に答えるのって結構難しくないですか?

賃貸マンションに限らず、どんな商品においてもお客様は無意識の中で各項目の重視度合を決めています。その無意識の中で決めたことをアンケートで正確に答えるのは無理がある訳です。

そう考えると、コンジョイント分析の方がはるかに現実的なアウトプットを期待できます。
なぜならば、『コンジョイントカード』という仮想商品を見てどれが良いかをスコア付けまたは順位付けするので、実際の購入検討に近い状態で調査を行うことができるからです。

※ちなみにマーケティング調査に関する重要なポイントは無料メール講座でも紹介しています。
この機会に是非購読してみて下さい。

【重要】コンジョイントカードの作成方法

さて、コンジョイント分析を行う際にきちんと理解しておくべきなのはコンジョイントカードの作成方法です。
これをミスるとコンジョイント分析ができなくなるので超重要です。

商品の仕様/機能と水準

まず評価を行う商品の仕様/機能(この記事では項目と表現します)と水準を設定します。

先ほどの賃貸マンションを例に取ると、ここでは分りやすくする為に調査対象とする項目を『月々の家賃』、『最寄駅までの時間』、『 駐車場の有無』の3つとし、

月々の家賃:『10万円以上』、『10万円未満』
最寄駅までの時間:『5分以上』、『5分未満』
駐車場の有無:『有り』、『無し』

とします。

ちなみにこの時の『10万円以上』、『10万円未満』といった各項目で実際に評価にかける属性のことを『水準』と言います。
統計上の用語になりますが、この機会に覚えてしまいましょう。

となると、この賃貸マンションの調査で使うコンジョイントカードは3つの項目と水準の組み合わせによって作られますので、組み合わせの数は2×2×2=8。
カードの枚数は8枚必要ということになりますよね。

従いまして、8つのカードに対して回答者にはスコアや順位付けをしてもらうという事になるのですが・・・ぶっちゃけた話、8個も評価するのはちょっと面倒ですよね?
まだ8個ならばよいのですが、もし項目を1つ増やすとなると(例:部屋の数)必要なカードは倍の16枚になってしまうので評価が難しくなります。
そして更にもう1つ増やせば32枚になってしまい、回答者にはかなりの負担となります。

『直交表』でカードの数を減らす

しかしここからがコンジョイント分析の面白いところです。
実は全ての組合せのカードを作らなくても、その中の何枚かだけをカードにして評価すればOKとなる方法があります。
例えば先ほどのマンションの項目3つの事例(8通りの組合せ)だと、4枚のカードを作って評価すれば8枚評価したのと同じ結論が得られる方法があるのです。

但しその4枚のカードはあるルールに従って選ばなければなりません。その時に使うのが『直交表』です。

直交表とは、水準の全ての組合せが同数回現れるように配列させた表の事を指します。
下記はコンジョイント分析でよく使用される直交表です。

もちろんそれ以外にも沢山の直交表があるのですが、挙げるとキリがなく、かつ表の作り方についてはかなり難しい統計学の理論を話さなければいけないのでここでは割愛します。

直交表にはそれぞれL4 23 型といった名前が付けられていて、名前の中の数値は左から表の行数(=コンジョイントカードの数)、水準数、列数(=項目数)を示しています。
要するに『水準数2つの項目が3つある実験を、カード4枚で行う』という事になる訳です。

因みに水準は-1, 0, 1という風に記載していますが、直交表内の任意の2列の数値を掛け合わせて、それを合計すると必ず0になります。
言い換えればそのようなルールで作られるのが直交表なのです。

直交表からコンジョイントカードを作る

先ほどの賃貸マンションの例で行くと、項目は3つ、水準は全て2つです。2水準の列数が3つ存在する直交表を探します。
そうするとL4 23 型が使えそうですよね。

直交表の1列目を『月々の家賃』、2列目を『最寄駅からの時間』、3列目を『駐車場の有無』とします。
そして列の水準の値(-1や1)を、それぞれの項目の水準に置き換えます。
そして1行目をカードNo.1、2行目をカードNo.2・・・として、4枚のコンジョイントカードを作成する訳です。

コンジョイントカードの評価から分析まで

コンジョイントカードの評価を取る

上記の要領で作ったコンジョイントカードをアンケートの中で提示し、回答者に『購入したいか否か』を評価してもらいます。
評価方法はいくつかあるのですが、一番多いのは『各カードをスコア付けする』です。

定量調査なので、基本的に回答者が多ければ多いほど精度が高くなりますが、ここでは理解しやすくする為に4人の回答者に各カードを7段階で評価してもらった結果を示します。
(7が最高点で『かなり購入したい』、反対に1が最低点で『絶対購入したくない』になります。)

これを当初の水準の値(1や-1など)に戻したものが下記になります。

これがこの後の分析に使う元データとなります。

重回帰分析で部分効用値を求める

上記のデータから、それぞれの項目がどの程度スコア(=購入したい度合)に影響しているのかを分析するのですが、それには『重回帰分析』という多変量解析を行います。
統計分析のソフトがあるとよいですが、Excelにも『回帰分析』という分析ツールがありますので、これを使ってもOKです。

統計学を御存知ない方は重回帰分析って何?と思うかもしれませんが、要するにここでは下の式の係数を求めることでスコアと各項目の関係性を明らかにする分析だと考えて下さい。

式の中のa1、a2、a3『回帰係数』と言いまして、これを算出するのが重回帰分析の目的です。

この式をよく見ていただきたいのですが、a1の値が大きいほど『月々の家賃』がスコアに与える影響が大きくなりますよね。
またa1とa2の値を比較すれば、『月々の家賃』と『最寄駅までの時間』のどちらの方がスコアに大きく影響するのかも確認する事ができますよね。
そんな感じで、各項目がどの位スコアに影響を与えるのかを可視化できる訳です。

重回帰分析の細かい計算についての説明は割愛しますが、分析ツールを使うと回帰係数は右のように算出されます。

要するに『月々の家賃』を”10万円以上”から”10万円未満”に変えると、スコア(評価)が1.5だけ高くなるということをこの値は示しています。

部分効用と重要度

通常コンジョイント分析では、この回帰係数のことを『部分効用』と呼びます。
そして更にこの分析結果を使いやすくする為、それぞれの項目の部分効用を平均を0とした値に変換するのが普通です。
例えば『最寄駅からの時間』の回帰係数は0.75でしたが、”5分未満”を+0.375、”5分以上”を-0.375とすると両者の差は0.75のままで平均が0になりますよね。

更に各項目の部分効用の幅(最大値と最小値の差)を、全体に占める比率で表した数値を『重要度』と呼びます。
今回の結果を見ると、『月々の家賃』、『最寄り駅までの時間』、『駐車場の有無』の部分効用の幅は、1.5、0.75、0.25となり、合計は2.5になります。

よって、『月々の家賃』の重要度は1.5 ÷ 2.5 = 60% という風に算出されます。

部分効用の幅が大きければ大きいほど購入決定に左右するということになるので、この値が大きいほど重要な要素という訳です。

分析結果の活用方法

ここまでできれば、あとは分析結果を有効に使って商品戦略に反映させるだけです。
その為には部分効用と重要度の値をきちんと読み解く必要があります。

アウトプットされた数値から言えること

今回の分析結果でいうと、

まず『月々の家賃』という商品特性において、”10万円未満”という水準が賃貸マンションの評価を0.75点高める効果があり、全水準の中で一番高い貢献度であることが分かりました。
逆に”10万円以上”だと評価が0.75点低くなってしまい、貢献度としては一番低いという結果です。

別の言い方をすると、賃貸マンションの評価に貢献する水準は、”家賃10万円未満”、”最寄駅から5分未満”、”駐車場有り”の順で高いという事になります。

また重要度を見ると、賃貸マンションを選ぶ際に最も重要なのは”月々の家賃”で、次に”最寄駅からの時間”であることが分かります。”駐車場の有無”の重要度は10%なので、それほど重要でないことが分かりました。

商品仕様を決める際の使い方

また部分効用はそのまま足し算、引き算できます。
例えば、

①”家賃:10万円未満”、”最寄駅からの時間:5分以上”、”駐車場有”
②”家賃:10万円未満”、”最寄駅からの時間:5分未満”、”駐車場無”

ではどちらの方がお客様に喜ばれるかを考えなければならない時、先ほど算出した部分効用を足して比べればOKです。

①:0.75 + (-0.375) + 0.125 = 0.50
②:0.75 + 0.375 – 0.125 = 1.00

なので、評価が高いのは②という事になりますね。

コンジョイント分析の注意点

上記のような流れでコンジョイント分析を行えば、お客様が商品を選択する時に何を重視しているのか、どんな風に商品仕様・機能を組み合わせればよいのかが分かります。

ただご覧になってお分かりの通り、直交表を使うことによって評価するカードの数を大幅に減らすことができるものの、やはり商品項目や水準が多くなるほど必要となるカード数は増え、回答者にかかる負担も大きくなります。
その為、どの項目や水準を調査対象とするかは事前によく検討する必要があります。
特に各項目の水準は2~3程度にするのが一般的です。

カードの数が多くなると回答者の回答意欲も薄れてしまい、適当に評価してしまう可能性が高くなります。

また当然のことながら、評価対象外とした項目の部分効用や重要度は分かりません。
『なんであの項目を調査対象にしなかったんだ!』と後になって揉め事にならないよう、項目の選定は関係者内でよく話し合ってから決めて下さい。

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