マーケティングリサーチ結果を商品・ブランドPRに利用する

 

こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉です。
今回は、自社商品やブランドの効果的なPRを行う為にリサーチを利用することについて解説します。

ここ最近、『マーケティング調査した結果を自社のWebサイトやプレスリリースに載せて、商品PRに利用したい』という問い合わせが増えています。

商品PRは”売る側から見たその商品のメリット”がメインになってしまうので、買う側から見るとちょっと疑り深くなってしまいますよね。
その為、そのPRに第三者を対象にした調査結果を掲載することで、情報に信ぴょう性を持たせる訳です。
ただその時に気を付けていただきたいことがいくつかありますので、今回はその注意点をお話しします。

リサーチ結果をPRに使った事例紹介

本来マーケティングリサーチは、お客様や一般消費者の声を聴いて商品企画やビジネス戦略に活用することを主目的としています。
ですがそれ以外にも『調査した結果をPRに使って、消費者の興味を惹く』という活用事例もあります。
いくつか事例を挙げてみましょう。

①顧客の経験・体験を調査してPRに使う

例えば以下は(株)キングジムが2021年に行った調査報告のプレスリリースです。

初入園・初入学を終えた子供がいるママにアンケートを配布して『入園・入学に向けた準備で何が大変だったか?』を聴いたものです。
88%の方が『子供の持ち物への名前付け』が大変だったと回答しており、また全体の7割の方が20個以上の持ち物に子供の名前を書いたという結果になっています。
その上で最後に、キングジムの主力商品である『テプラ』を紹介しています。

要は、新生活の準備をするにあたっての親の困り事を数値で可視化し、それを自社商品(テプラ)の販売促進に繋げようとしている訳です。
新入園・新入学になぜテプラが必要か?を説得力を持って伝えることができてますよね。

②世の中のトレンドを調査してPRに使う

またこちらはクックパッドが2020年1月に出したプレスリリースです。

クックパッドの女性ユーザーさん3000名に対してアンケートを行い、『バレンタインにお菓子を手作りする予定があるか?』を聴いています。
その結果7割以上の方が『手作りする予定がある』または『まだ予定はないが手作りしてみたい』と回答しており、また手作りする理由としては単純に『手作りを楽しみたい』が52%と高く、『好きな相手に告白したい』と答えた方はわずか0.5%しかいなかったとのことです。

これまでバレンタインは『女性が男性にチョコをあげて告白をする日』というのが通例でしたが、今はそうではなく、単純にお菓子作りを楽しみたい女性が増えているというトレンドを調査結果として伝え、これまで手作りをしたことがない方にも興味を持ってもらい、クックパッドの利用促進に繋げようとしている訳です。

③自社にとってネガティブな結果を敢えてPRに使う

最後は大幸薬品が2021年にリリースした調査結果です。

これは20~69歳の男女1000名に『正露丸の臭いは好きか?』という質問をした結果です。

正露丸を知っている人ならご想像の通り、結果として”好き”と答えた方は少ない訳ですが、注目すべきはそこではありません。
なんと20代の19.5%が正露丸の臭いを『嗅いだことがない』と答えており、それをトピックとして伝えているのです。

中年世代にとって、腹痛の時には必ずと言っていいほど正露丸を飲んでいましたよね。私もそうです(笑)
しかし昔に比べて薬の種類も増えたからなのか、今では20代の5人に1人は正露丸の臭いを知りません。

『若い人は正露丸に馴染みがない』ということになるので、普通に考えれば、大幸薬品にとって世間にあまり出したくないデータです。
しかし、それを敢えて公開することで正露丸をメディアに注目させ、ニュースなどで取り扱ってもらうことでバズを生み、再び多くの方に正露丸を知ってもらうきっかけを作った訳です。

実際のこのリリース公開後、多くのメディアが『20代の5人に1人は正露丸の臭いを知らない』と大々的に報じ、多くの口コミを生みました。

 

リサーチ結果を使ったPRの注意点

上記のようにリサーチはPRを有効にする為にも役に立つ訳ですが、とはいえただ載せればよいという訳ではありません。
掲載時のマナーはもちろん、より効果的に見せる為に大切なことがあります。

以下の5点、特に②~④についてはPRに載せる載せないに関わらず調査を行う上で重要な事項なので、是非守ってください。

①【超重要】『メディアが欲しい情報は何か?』を考える

まずこれは声を大にして言いたいのですが、PRというのは自分の商品やブランドを宣伝する為に行います。
しかし『あなたが発信したい情報』と『メディアが取り上げたい情報』は基本的には異なります。

要するにメディアはあなたの商品の宣伝を取り上げたい訳ではなく、多くの方が興味を持ってもらえそうなことを取り上げたいのです。
単純に言えば『話題性』ですね

そういった意味では、上記の大幸薬品の事例はとても参考になるのではないでしょうか。
ちょっと難しいかもしれませんが、自社の商品をメディアで取り上げてもらう為にはどんな情報を提供すべきか?を考えてみましょう。

②必ず調査概要を一緒に掲載する

これはマナーの問題ですが、調査結果をWebサイトやプレスリリースに載せる時には、必ず『調査概要』を一緒に掲載しましょう。
具体的に、最低限必要なのは以下の項目になります。

・調査年月日
・調査方法
・対象者条件
・回答者数
・調査を担当した会社名

この情報がないと『どんな調査を基にこの記事が描かれているのか?』が分からない為、データの信頼性に大きく影響します。

③掲載する表・グラフは5秒で分かるように

掲載されている文章はもちろん、表やグラフは何を示しているのか?がパッと見で分からなければ、ほとんどの方がスルーしてしまいます。

他のブログでも書いていますが、私自身がマーケティングリサーチを実施して結果をグラフ化する際、それを見た人が『5秒以内に内容を把握できる』ようなグラフ作成を心掛けています。

※リサーチ結果をグラフにする際の基本はこちらのブログで解説しています。

④調査の『中立性』を確保する

商品PRにリサーチを使うとなると、どうしてもそのPRに有利となるデータが欲しい!と思ってしまいます。
そうすると『何としても有利になるデータを取ろう』と考えてしまいがちです。

実はリサーチというのは、自分の思った通りのデータを取ろうと思えば“ある程度”ですができてしまいます。
例えば英会話スクールが、『英会話に興味を持つビジネスマンが現状どの程度いるか?』を明らかにしたい場合、世の中のビジネスマンに対して、

『あなたは英会話レッスンにどの程度興味がありますか?』

という質問をアンケート調査の中で行えば分かります。
しかし英会話スクールにとってみれば、『今、英会話に興味を持っている人が多い』というデータがあれば格好のPRネタになります。
そこで以下のような質問にしてみるといかがでしょうか?

『昨今どの企業も英会話スキルを人事上重視していますが、あなたは英会話レッスンにどの程度興味がありますか?』

おそらくこうすれば、同意する方は十中八九増えるはずです。”昨今どの企業も英会話スキルを人事上重視していますが~”という一文が興味を促進する働きをしているからです。

ただこれはリサーチのマナーからすればNGです。調査結果を質問の仕方によって意図的に操作している訳ですからね。
このような質問を『バイアスのかかった質問』と言います。バイアスをかけず、中立的に質問をしてデータを取るのがマーケティングリサーチの基本です。

※バイアスについては以下のブログで詳しく紹介しています。是非ご覧下さい。

まとめ

最初に申し上げた通り、商品PRにリサーチ結果を用いることで、その情報に信ぴょう性を持たせることができます。
しかしやり方を間違えるとその信ぴょう性が失われるどころか、適当なデータを公開してしまうとあなたの会社自体の信頼性も失ってしまうかもしれません。

是非上記のことに気を付けて、効果的なPRを行ってください。

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