『偏差値』を利用して更に深めるマーケティングリサーチ

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こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
今回は『偏差値』について解説します。

高校や大学受験の時、

『この大学に合格するには偏差値60は必要だな・・・』
『私の偏差値だと〇〇高校あたりが無難かも・・・』

という感じで偏差値に悩まされた方は多いと思います。

この偏差値、実は受験が終ったらおしまいではありません。社会に出てからも、取り分けマーケティングリサーチでは様々な分野で利用する概念です。
『そもそも偏差値って何なの?』という方は是非読んで下さい。

そもそも『偏差値』とは?

数字は”単独”で見ても意味がない

まずは偏差値を分かりやすく解説する為、学校のテストを例に取りましょう。

例えば、あなたが数学のテストで70点を取ったとします。
70点と聞くとまあまあ良い点数のような気がします。しかし本当に良かったかどうかは、そのテストがどの程度難しかったかによりますよね?
従いまして気にしなければならないのは、他の受験生たちが何点だったのか?という事です。

その際、他の1人ひとりの受験生の点数と比較するのは面倒くさいので、通常比較対象とするのは『テストの平均値』です。
この時もし平均点が60点だったとしたら、自分の数学の点数は平均より10点高かったということになるので、『自分の点数は全体的に見ても良い部類に入る』という事が言える訳です。

逆に平均点が80点だったとしたら、自分の点数は平均より10点低いので『全体的に見ると悪い部類に入る』ということになります。

こんな風にテストでも何でもそうなのですが、数字と言うのは単独で見てもあまり意味がなく、他と比較する事で初めて意味を汲み取ることができます。

これ、当たり前のことなのですが、数字を見る時にはとっても大切なことです。

 

集団の中での自分の『位置』を知る超便利な値

しかし、こう比較すると次に新たな疑問が出てきます。
『自分の点数は平均より10点高かったのは分かったが、同じくらいの点数の人は他にどのくらいいるだろうか?』という事です。

上記同様、平均点60点で自分の点数が70点だったと想定して下さい。
平均点より10点高かったのは事実です。しかし他の受験生の点数の分布によっては喜び度合が大きく違ってきます。

例えば、下記のように他の受験生の点数はほぼ平均点付近に固まっており、70点以上を取った人は僅かしかいない場合。

これは全体的に見るとかなり上位の点数であった訳ですから、自分で自分にご褒美をあげても良いと思います。

 

しかし下記のように、80点、90点の受験生もある程度いる場合。
これは平均点と比べると良かったのですが、全体的には”まあまあ”という事になるのでもう少し頑張りましょうという事になりますよね。

このように自分の点数がどれだけ良いか(または悪いか)というのは平均値との差だけで語るのは不十分であり、全体の分布の中でどのくらいの位置にいるかを考えないといけません。

これを知る為に算出するのが今回のテーマである『偏差値』です。

“偏差値”が持っている数値的意味

このように偏差値とは、集団の中で自分がどれ位の位置にいるかを表す数値です。

平均点を偏差値50になるように変換し、単にそれより高いか低いかだけでなく、集団の中でどれくらい高い(または低い)位置にいるかを表します。
自分の実力を相対的に把握できる便利な数値なのです。

統計学的に言うと、偏差値60の場合、その集団の上位15.87%の位置にいると言えます。
これはもしテストの受験者数が1000人だったとしたら、158位くらいのところに自分はいるということです。

逆に偏差値が40の場合、下位15.87%の位置にいると言えます。ということは下から158位(=上から数えると842位くらい)のところに自分は位置しているということです。
具体的に『偏差値』と『最上位からの割合』、 『1,000人中の順位(参考)』の統計学的な関係は以下の通りです。

このように『偏差値』で表すメリットは、の中で自分がどれくらいの位置にあるかを知ることができる事なのです。

偏差値を計算する式

ではその偏差値ってどうやって計算するか?ですが、これは以下の式で求めることができます。

“x”というのが自分の点数です。
対象とする集団の『平均』『標準偏差』を予め算出しておけば簡単に計算できます。

『平均』は皆さんもご存知の通りの単純平均です。
しかし『標準偏差』は統計学を学んだ経験のある方ならご存知と思いますが、そうでない方は「何それ?」という感じですよね。

『標準偏差』とは”データのばらつき”の度合

まず『標準偏差』について解説する前に『偏差』という言葉を理解しなければなりません。
『偏差』とは『平均値からの差』の事を指します。

例えば、テストの平均点が60点で、Aさんは55点、Bさんは75点だったとします。
その場合の偏差は下記のとおりです。

Aさん:55点ー60点=-5点(平均点より5点小さい)
Bさん:75点ー60点=+15点(平均点より15点大きい)

これが『偏差』です。

これが理解できれば標準偏差を理解するのは簡単です。
要するに標準偏差は『標準的な平均値との差』ということになります。つまり、個々のデータの偏差をまとめて、『全体を見ると標準的にこの集団の偏差はこのくらい』ということを表しているのです。

標準偏差を求める式

この標準偏差を求める式は以下になります。

言葉で表すと、各データの偏差を2乗して全部足し合わせ、それをデータの個数で割った(平均した)数の平方根を求めるということになります。

・・・何だかややこしくなってきた!と思う方もいるかもしれませんが、そう感じた方は『標準偏差とはそういうものだ』と思って頂くだけで構いません。

ただここで理解してもらいたいのは、

●この標準偏差が大きくなると・・・
→平均値から離れているデータが多いということで、要は全体的にデータのばらつき具合が大きい。

●逆に標準偏差が小さいということは・・・
→平均値から近いデータが多いということで、要は全体的にデータのばらつき具合が小さい。

ということになりますよね?
従いまして、標準偏差の値を見れば、その集団を構成するデータがどのくらいばらついているかが分かる訳です。

 

偏差値をビジネスに活用する

『偏差値』とは何か?どう計算するのか?についてお判りいただけたでしょうか?
ではこの偏差値をビジネスの場でどのように活用するのか?についていくつか例を出して説明します。

例1) 営業マンのスキル・能力を見極める

例えば企業の営業部門であれば『営業マンの成績』を付ける際に偏差値を付けてみるというのはよく見る活用方法です。

下記は、ある会社のテレアポの営業成績であり、各担当者の1か月間における営業先への『架電数』とそれによって得た『アポイントメント数』、そして『アポ獲得率』になります。

テレアポというとあまり良いイメージがないかもしれませんが、営業先に電話をしてビジネスに関するアポイントメントを取るというのはセンスとスキルが必要です。
私も少しだけ経験があるのですが、自分には絶対に向かない職業だなと思いました(笑)

テレアポの営業成績というのは、単純に『獲得したアポイントメントの数』で評価されがちです。
しかし正確には数ではなく、その人のスキルを評価する為には”獲得率”で見るべきです。

その為、上記では担当者別の『アポ獲得率』を算出しているのですが、それに加えて獲得率の偏差値も計算しています。
こうすることで『誰の獲得率が高いか』だけでなく、『誰の獲得率がどの位高いか』までを見る事ができます。

上記の場合、担当者Mのアポ獲得率は1.98%であり、これの偏差値を出すと69です。
前述の通り69という偏差値は上位3%くらいに入りますので、この人はそれくらいのスキルを持つ逸材なのです。

その為この会社では、この人が持っている電話営業のスキルを徹底的に調査し、他の担当者と共有するという活動を行いました。

例2) 広告の効果を予測する

私個人が実施しているマーケティングリサーチの中では、新しく出稿する広告の効果予測に偏差値を多用しています。
それについては以前、『ノルム調査』に関する以下のブログでも書いてます。

特にテレビやWeb上での動画広告は、制作する際に何千万円、何億円というコストがかかります。
なのにも関わらず、その広告を出しても全く効果が無かったとしたら単なるお金の無駄遣いになってしまいますよね。
その為、放映を開始する前に定量調査によってその広告案の効果を計測し、『意図した効果が出せそうか?』を検証するのです。

細かい調査方法は上記のノルム調査のブログを参考にしていただきたいのですが、基本的にこの調査では”過去に調査を実施した他の広告案の結果”と新しい広告案の調査結果を比較します。

言い変えれば、

“過去の広告と新しい広告を比較した際、新しい広告の効果の偏差値はいくつか?”

ということを検証します。
その結果、偏差値が60程度あれば過去に比べて新しい広告案はとても良い効果を出しそうだと言えますし、逆に50を下回った場合は効果が期待できそうにないので作り直し!という判断ができます。

そんな感じで偏差値はビジネス戦略やマーケティングリサーチの中に多用されているのです。

 

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