
マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
「ペルソナ設定」はマーケティングの重要な作業ですが、間違ったやり方で時間を無駄にしているケースが多く見られます。想像や妄想でペルソナを作っても、それは「架空のお客様」にすぎません。この記事では、マーケティングリサーチャーが実践する「インタビュー×生成AI」を活用した、データに基づく正しいペルソナ設定の方法を解説します。
ペルソナ設定とは?ターゲットとの違い
まず基本を整理します。
- ターゲット:「30代男性・都内在住」など、狙うお客様の”グループ”
- ペルソナ:そのグループの中にいる「名前・顔・悩みがはっきりと想像できる具体的な個人」
なぜ1人に絞るのか。それは「全員を狙うと誰にも刺さらない」からです。プレゼントを選ぶとき、「30代男性全般が喜ぶもの」より「育児で寝不足の親友Aさんが喜ぶもの」の方が具体的に選べるように、ペルソナが明確であるほど商品・広告の精度が上がります。
よくある失敗:想像でペルソナを作る
ペルソナ設定で最もありがちな失敗が、想像・妄想・固定観念でペルソナを作ることです。
- 「30代男性ならインスタント食品が好きだろう」
- 「女性が好きな色はピンクだろう」
このようなペルソナはマーケティング担当者の頭の中にしか存在しない”架空人物”です。そのペルソナをもとに作った商品・広告も、担当者の妄想産物になってしまいます。
生成AIへの丸投げも危険
「育児で寝不足な人のペルソナを作って」と一言プロンプトを打つだけでも同様の問題が起きます。AIはもっともらしい回答をすぐに返してくれますが、それはネット上の情報を集めたものにすぎず、AIが妄想したペルソナと変わりません。実在するかどうかも不明です。
正しいペルソナ設定の3ステップ
ステップ1:実際のターゲット顧客にインタビューする
最も重要なのが実際の人間へのインタビュー(定性調査)です。
- インタビュー人数の目安:最低5人、できれば10人
- 5人で「共通の不満・思い」が見えてくる
- 10人で「顧客の構造」がはっきりわかる
- 対面が理想ですが、オンラインインタビューでもOK
マーケティングのインタビューはマスコミのインタビューとは異なり、相手の深層心理を探るような質問・聴き方が求められます。
ステップ2:インタビュー結果を発言録(バーベイタム)として文字起こし
インタビューした内容を、発言を修正せずそのまま記録した「発言録(バーベイタム)」を作成します。現在はOpenAIのWhisperや「NOTTA」などの文字起こしツールを使えば、録音データを数分で文字起こしできます。
「あの」「えー」などのフィラーは除去不要。重要な言葉が誤って除去されるリスクを避けるため、そのまま残しておきましょう。
ステップ3:発言録をすべてAIに読み込ませてペルソナを生成
人数分の発言録をChatGPTなどの生成AIに全て貼り付け、以下のようなプロンプトを送ります。
「添付は〇〇を検討している30代前半の男性10名にインタビューした発言録です。これを全て読み込んで、共通する深い悩み・言葉にできない不安を統合した1人の人格として振る舞ってください。その人格に対してこの後いくつか質問します。」
すると、AIは10人のインタビューのエッセンスが凝縮された「血の通ったペルソナ」になります。想像上の人物ではなく、実在する顧客の分身です。
AIペルソナに「施策の評価」を聞く
こうして作ったペルソナに対し、自社の施策案を質問できます。たとえば「10万円キャッシュバックキャンペーンをやったら契約が増えると思いますか?」と聞くと、データに基づいた正直な回答が返ってきます。
施策をリリースして「効果ゼロ」とわかるより、AIが事前に顧客になりきってフィードバックしてくれる——これが失敗しないマーケティング施策につながります。
アンケートではなくインタビューが必要な理由
アンケートは気持ちや理由を深く聞くことができません。インタビューなら「それってなぜですか?」「もう少し詳しく教えてください」と臨機応変に深掘りできます。この深掘りされた言葉こそが、ペルソナ設定に不可欠なデータになります。
まとめ
ペルソナ設定は「ただの書類作り」ではありません。顧客を深く知り、ヒット商品・効果的な広告を生み出すための重要なプロセスです。
成功の秘訣は「実際のインタビュー結果をAIに読み込ませること」。これだけで、あなたのマーケティングは劇的に変わります。想像ではなく、データに基づいたペルソナ設定を、ぜひ実践してみてください。

















