効果的なキャッチコピーを書くコツは小中学校の国語で学んだ

 

こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。

今回は自分の商品・サービスを宣伝する時のキャッチコピーについて考えてみたいと思います。
キャッチコピーというのは一言で言えば『自分の商品やサービスに注目してもらう宣伝文句』の事を指しており、プロのコピーライターさんに頼めば素晴らしいものを作ってくれます。
しかし、そんな人たちに依頼するお金がない小さな企業や個人経営の方々であれば自分で作らないといけません。

もちろん、プロのライターさんは優れた技術とセンスを持っていますので、彼らが作るようなコピーを作るにはかなりの経験が必要です。
でも考え方を変えれば、キャッチコピーとは『日本語の文章』なので基本的なことは小学校や中学校の国語で習っています。
それらを駆使すれば、ある程度興味を惹けるコピーができるはずだと私は思っています。

是非、小中学校時代の国語の授業を思い出しながら読んで下さい。

優れたキャッチコピーを作る4つの基本表現

この記事で説明するキャッチコピーの表現方法は以下です。

● 体言止め
● 倒置法
● 比喩
● 擬人化

・・・小学校や中学校で習った気がする!というものばかりですよね。
でも学校では日本語の表現技法として教えているのであり、何もキャッチコピーを作る為にこれらを教えている訳ではありません。
ここでは、これらの表現方法をキャッチコピー作成に使うにはどうすればよいか?を解説します。

また、これら4つを絶対に使わなければならない訳ではありません。
あくまでキャッチコピーを作る時のテクニックとして頭の引き出しの中に入れておいてください。

『体言止め』

『体言止め』は名詞や代名詞で文章を終えること

通常日本語の文章というのは動詞、形容詞、形容動詞といった動きや状態を表す言葉(用言)で終わります。
しかしそうではなくて、敢えて名詞や代名詞などの『体言』で文章を終わらせるのが体言止めです。
例えば、

徳川家康は1603年に江戸幕府を開いた人物です。

この文章に体言止めを使用すると以下のようになります。

徳川家康。1603年に江戸幕府を開いた人物。

『徳川家康』、『人物』という体言で文章が終わっていますよね。
この文章を書いた人はおそらく『徳川家康』を強く強調したいのだと思いますが、こうすることで読者の注意を徳川家康に惹きつけ、かつ文章にリズム感を与えることができますよね。
これが体言止めを文章に使うメリットです。

『体言止め』がもたらす3つの効果

実際に体言止めは以下のようなキャッチコピーに使われています。

『なにげないけど、それが幸せ』(AJINOMOTO)
『焼酎とふたりきり』(大分むぎ焼酎 二階堂)
『挑戦は、明日への力』(かんぽ生命保険)

先ほども申し上げた通り、体言止めを使うことによって、

①文章の最後の名詞や代名詞を強調し、注意を惹く事ができる。(上記だと『幸せ』、『ふたりきり』、『力』)
②文章にリズム感を与える事ができる。

というメリットが生まれますが、これに加えて、

③文章を短くする事ができる。

というのもあります。

キャッチコピーはだらだらと長く書いてしまうと誰も読んでくれないので、基本的には短い方がよいとされています。
だからといって体言止めを使わなければならない訳ではありませんが、簡潔に書く為の1つのテクニックとして考えて下さい。

『倒置法』

『倒置法』とは日本語の語順を反転させる

『倒置法』とは、日本語の文章の語順を普通とは逆にする表現方法です。
具体的に、日本語は『主語⇒目的語⇒述語』の順で文章を構成しますが、これを敢えて『主語⇒述語⇒目的語』や『目的語⇒述語⇒主語』といった順序にすることです。

例えば、

『あなたは、私にウソをついたのね。』

という文章について倒置法を使って主語を最後に持ってくると、

『私にウソをついたのね、あなたは。』

となります。このあと何をされるのか・・・とちょっと怖い表現になりますよね(笑)

また、

『私は北海道へ旅に出ます。』

という文章の目的語を最後に持ってくると、

『私は旅に出ます、北海道へ。』

となり、『何か深い事情があって北海道に行くのかな・・・』というニュアンスになりますよね。
敢えて日本語の語順を見出し、強調したい言葉を最後に持ってくる事で読み手に印象づける効果があるのです。

『倒置法』がもたらす効果

上記の通り、倒置法を使う事で最後に持ってきた言葉を強調する効果があります。
キャッチコピーにも頻繁に使われていますが、代表的なモノを挙げておきます。

『猫ブームです。世の中で。保健所で。』(福井犬・猫を救う会)
『ダメ、絶対』(財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター)

最初のキャッチコピーはペットで猫を飼う人が増えている一方、計画的に飼う事ができず殺処分されている猫も増えているという事です。
最後に『保健所で。』と持ってくることで読者をドキッとさせますよね。

また2つ目のコピーについても『絶対ダメ』と書いてもよいのですが、敢えて『絶対』という言葉を最後に持ってくることで全体が強い表現になります。

『比喩』

『比喩』とは共通点を持つ別のモノに例えること

『比喩』というのは物事を説明する時に、共通のポイントを持つ他のモノに例えて表現する方法を指します。
例えば、

『あの娘の笑顔はスミレのようだ』
『今年の夏はサウナのようだ』
『この味はまるで宝石箱のようだ』

このような感じで、『あの娘の笑顔 =  スミレ』、『今年の夏 = サウナ』、『味 = 宝石箱』という風に例えている訳です。普通に生活していてもよく使う表現ですよね。

このように、何か共通のポイントがあるものに例えることで相手の理解を促すのが比喩と言う表現技術になるのです。

『直喩』と『隠喩(暗喩)』

ただ重要なのは、比喩には『直喩』と『隠喩(暗喩)』の2種類があることです。
『直喩』というのは上記の例のように「まるで~」、「~みたいな」、「~のような」、「~のごとく」といった言葉を使って例える方法を指します。
それに対して『隠喩(暗喩)』というのはこれらの言葉を使わないで例える方法です。

先ほどの直喩の事例を隠喩に直すと、

<直喩>   ⇒   <隠喩>
『あの娘の笑顔はスミレのようだ』⇒『あの娘はスミレだ』
『今年の夏はサウナのようだ』⇒『今年の夏はサウナだ』
『この味はまるで宝石箱のようだ』⇒『この味は宝石箱だ』

という具合になります。”のような”や”まるで”といった例える時に使う言葉を敢えて隠しているので”隠喩”と呼ぶのです。

一般的に『直喩』より『隠喩』の方が効果的

さて、上記の『直喩』による表現と『隠喩』による表現を見比べてみてほしいのですが、皆さんはどちらがインパクトのある表現のように見えますか?
どちらかというと『隠喩』の方が頭に残る表現のような気がしないでしょうか?

これは絶対とは言い切れないのですが、一般的に『直喩』よりも『隠喩』を使うとパンチの効いた説得力の高いキャッチコピーになることが多いです。

上記の3つ目の例は食リポの彦摩呂さんがよく使う『味の宝石箱や!』とほぼ同じですが、彦摩呂さんが『この味は宝石箱みたいや!』と直喩で表現してしまったらいまいちインパクトがなくなりますよね。

他にも隠喩を使ったキャッチコピーはあります。

『コーヒー界のアップル』 (ブルーボトルコーヒー)
『働きバチの仕事ぶり』 (丸山工務店)
『地図に残る仕事』  (大成建設)

ただ念のため申し上げると、決して直喩がダメという訳でありません。亡くなった元プロボクサー:モハメド・アリさんのキャッチコピーは『蝶のように舞い、蜂のように刺す』という直喩でしたが、これはこれでばっちりハマった表現ですからね。

『擬人化』

『擬人化』とは人ではないものを人に例えること

擬人化とは、人ではないモノや事柄を人の動きに例える表現です。

例えば、
『鉛筆が手から転げ落ちた』
『月が私に微笑んでいる』

などが擬人化です。鉛筆も月も人ではないのに、あたかも人間のように行動しているかのように表現しています。
これも普段の生活の中で自然と使っている事が多いのではと思います。

『擬人化』がもたらす効果

『擬人化』を使ったキャッチコピーは下記のようなものがあります。

『英語が口から飛び出す』 (スピードラーニング)
『私の肌は、週休7日』 (ETVOS)
『おしりだって洗って欲しい』 (TOTOウォシュレット)

『英語』、『お肌』、『おしり』というのは人ではないので感情や意思を持っている訳ではありません。
ただこのように感情や意思を持っているかのように書く事で親近感が湧き、感情移入しやすくなると言われているのが『擬人化』という手法です。

『擬人化』と『擬物化』

モノを人に例えるのが『擬人化』ですが、逆に人をモノに例えることもあります。これが『擬物化』です。
例えば以下のような表現がそうですね。

『ココロも満タンに』(コスモ石油)
『おいしい記憶をつくりたい』(キッコーマン)

『ココロ』や『記憶』という人間の感情や能力を”モノ”として例えていますよね。
このように人間が持っている複雑な心情を”モノ”に例えて言いたい事をシンプルに伝えられるというのが擬物化のメリットです。

まとめ~4つの表現を使ってコピーを作ってみよう~

最初に書いた通り、キャッチコピーの表現というのは沢山あるので上記4つだけという訳ではありません。
ただこれは日本語の基本であり、キャッチコピーを作る時の基本表現でもあるので、初めて作るという方は是非小中学校の国語をまず思い出してほしいのです。

上手に表現できるようになると、キャッチコピー作りはとても面白くなりますよ。

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