『ノルム値』って何?~概要から活用方法まで徹底解説~

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こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
今回は『ノルム(Norm)値』についてお話したいと思います。

マーケティングリサーチでは「過去の製品や競合製品」、「A案とB案」などの比較して見ることが重要ですが、その時に役立つ概念が”ノルム値”です。
(ノーム値と呼ぶこともありますが、今回はノルム値で統一します。)

その概要や算出方法から活用方法まで解説します。

『ノルム値』とは

ノルムとは”調査データの基準値”

ノルム値とは、『同じ条件で収集されたデータを比較する際の基準値』のことを指します。
“norm”は英語で「標準・一般的水準」を意味する名詞です。日本人にはあまり聞きなれないかもしれませんが、形容詞になると「普通・通常」といった意味の”normal”になります。こっちの言葉の方が皆さんよく知ってますよね。

その為、ノルムというのは様々な分野で使用されていますが、マーケティングリサーチでは『過去に同じ方法で実施した調査データと比較する際の基準値』を指すことが多いです。

ノルム値の活用事例~ネット広告の効果測定~

このノルム値を使った調査は広告効果の測定・検証に多く使われています。
例えば、あなたの会社がネット上に公開した新しい広告(広告A)について調査した結果、その広告を見て対象商品を買いたい(購買意向率)と思った人が50%いたとします。
50%ってそこそこ高いような気もするのですが、何事も評価するには『ものさし』が必要です。比較評価基準がなければ良いか悪いか判断できないのです。

その為、評価するには何らかの比較対象が必要であり、理想としては広告B、広告C・・・など他の広告の購買意向率の調査結果も必要となってきます。
このように同じ方法で測定された異なる対象物のデータどうしを比較するのがノルム調査であり、それぞれの値(この場合は各広告の購買意向率)から算出される評価基準値をノルム値と言うのです。

例えば上記は広告A~L(12案)に対して購入意向を取ったデータになります。
先ほどのように広告A(購入意向:50%)だけしかデータが無いと良いか悪いか判断しにくいですが、上記のように複数の広告に対して同様の調査を行い、その購入意向の平均値が48%だったとすれば、それを基準にして比較ができます。
広告Aの購入意向は平均より少し高いので、”まあまあ良い”という評価ができる訳です。

ノルム値を算出する際の注意点

毎回同じ方法でノーム値を算出する

このノルム調査を行うのに守らなければいけないのは、必ず同じ方法でそれぞれの評価を行う事です。
具体的には、

●評価に使うアンケートの設問文や選択肢
●アンケートの調査対象者条件

●計算過程や式

これらを変えては絶対にいけないという事です。変えてしまうと比較対象とすることはできません。
また計算に使う設問がアンケートのどの位置にあるのか(設問の流れ)も基本的は変えない方が良いです。

そこも変えちゃいけないの!?と思うかもしれませんが、調査方法の全てを統一した上で比較することが基本です。

まずノルムを貯める調査を行う

また、精度の高いノルム値を出す為にはデータを蓄積しないといけません。
データが2~3個しか蓄積していない時に出すノルム値の精度は当然の事ながら悪く、調査を重ねた分だけ精度が上がっていくのがこの調査の特徴です。

そのため一番最初にノルムの算出を行う際には、10~20個程度のサンプルを一気に調査することをおススメします。
そうすればある程度の精度の高い値を出すことが出来ます。

ノルム調査の分析方法

偏差値でスコア化してみる

ノルム値の算出方法については特に決まったものありません。
上記の広告の購買意向のように、算出された値の平均を求め、それと個々の値を比べてみれば良いのです。

ただ少し統計学的に見せたいのであれば、調査で出てきた個々の値の『偏差値』を出してスコア化してみると良いと思います。

偏差値とは学力テストなどの結果判定などでも多用されているのでご存知と思いますが、平均値を『50』とした時にそれよりも結果が良ければ数値が高くなり、悪ければ低くなるようにスコア化したものを指します。

テストで偏差値が70だったら『もしかしたら俺、東大行けるかも?』と思いますし、逆に40だったら『もっと頑張らなければ・・・』と思いますよね。

このように、一目で良いかを悪いかを判断できるのが偏差値でスコア化することのメリットです。

『偏差値』の計算の仕方

では偏差値とはそのように計算するか?ですが、それほど難しくはありません。
基本的には以下の式で算出することができます。

“X”が測定された値(上記で言えば購入意向率)です。

ここで『標準偏差』という言葉が出てきますが、この詳細はこのブログでは割愛します。
簡単に言うと『データのばらつき度合』を示している値であり、これが大きければデータが広くばらついており、逆に小さければ平均値付近にデータが固まっているという事になる訳です。

上記の例では平均が48%、標準偏差が12%となっていますが、Xの値がちょうど平均の48%だった場合、偏差値は50になることが分かりますよね。
またX=60%(平均+標準偏差)だった場合は偏差値が60になるのに対し、X=40%(平均-標準偏差)だった場合は偏差値が40になります。

こんな感じで平均を上回っているのか、下回っているのかが一目で分かるようにできるのです。

ちなみにエクセルでデータの標準偏差を算出したい場合は、”STDEV.P”という関数を使えば簡単に出せます。興味のある方は使ってみるとよいかもしれません。

目的変数だけでなく説明変数もスコア化する

上記だけでも参考になるデータ分析ができると思いますが、仮に購入意向率が低かったら『なぜ低いのか?』の理由も分からないと今後の対策に繋げることができないですよね。

その為、購入意向率を高める”要因”となりそうなものも調査項目に加え、それもスコア化してみるとより多くの知見を集めることが出来ます。

例えばですが、広告に関するノルム調査であれば、

● 広告の中の商品は自分向けだと感じたか?(適自性)
● 広告の中の商品は他社の商品と差別化されていると感じたか?(独自性)
● 広告の中の商品は先進の技術を使っていると感じたか?(先進性)

など購入したいという気持に関係する(促進させる)ものを調査票の中に入れて調査を行います。

以下は、先ほどの購入意向率に加えて上記3項目も聴取した結果例になります。

これら3項目と購入意向との相関を見ると、適自性(自分向けと感じたか)が購入意向に強く関係している事が分かります。
逆に先進性(先進の技術を使っていると感じたか)は購入意向との相関はほとんどありません。

その為、広告A~Lの中で広告Fが一番購入意向が高かった訳ですが、その理由は適自性が強い広告だったからだと結論付ける事ができるのです。

このように”購入意向”のような結果を示す数値を『目的変数』、それに対して要因を示す数値を『説明変数』と言います。
目的変数だけでもノルム調査を行うメリットはありますが、説明変数も加える事でより調査で分かることが多くなる訳です。

但し、『説明変数として何を調査票に加えるか?』は調査を実施する本人または関係者が熟慮して決める必要があります。
ちょっと難しいかもしれませんが、ここが考え抜かれているノルム調査はとても価値あるものになります。是非挑戦してみて下さい。

まとめ

どの市場も日々刻々と変化していますので、需要動向を知る為にノルム調査の実施は1つの選択肢となります。

データの蓄積にある程度の時間を要しますが、その分蓄積したデータは自分(自社)の今後のマーケティング戦略においてとても貴重な財産になります。
正しい方法でノルム調査を行い、効果的なマーケティング戦略を検討しましょう。

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