マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。 ●無料メールで学ぶマーケティング講座配信中⇒こちら
こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
- データに基づく意思決定
- 勘ではなく数字で判断する
いわゆるデータドリブン経営は、今や多くの企業が掲げる経営方針となっています。
しかし、実際の現場では「データを集めても結論が変わらない!」、「分析ばかりで何も決まらない!」という声が後を絶ちません。
何故データドリブンは機能しないのか?というと、その理由には共通のパターンがあります。
そこで今回はマーケティングリサーチャーの視点から、データドリブンが形骸化する3つの本質的な原因とその解決策をご説明します。
※動画で見たい方はこちらをどうぞ!
データドリブンが機能しない3つの理由
理由① データを見る人がバイアスにとらわれている
まず人間はデータを見る時、多くの場合はあらかじめ仮説を立てた状態でそれを見ます。
つまり、「こういう結果であってほしいな・・・」という先入観を持ちながら数字を解釈してしまうのです。
例として、あるSNS広告キャンペーンを考えてみましょう。
担当者は「SNS広告の効果は高いはずだ」という前提でデータを確認し、クリック率の高さを根拠に「この広告は成功だ」と結論づけました。
しかし実態を精査すると、クリックしていたのはほぼ既存顧客であり、新規顧客の獲得にはほとんどつながっておらず、売上への貢献も限定的でした。
それでも担当者は「成功」と報告してしまいました。
このように自分の信念や仮説を支持する情報だけを無意識に集め、反対する情報を無視・軽視してしまう認知の歪みを、心理学では『確証バイアス』と呼びます。
確証バイアスが蔓延した組織では、大量のデータが存在するにもかかわらず、経営判断が誤った方向へ進んでしまうことがあります。
リサーチの現場で真に重要なのは、自分が信じたい数字ではなく、自分が見たくない現実を直視することです。
理由② データの設計が意思決定の目的と合っていない
「分析は行っているが、何を決めたいのかが不明確」
これもよく見られる状態です。
例として、あるECサイトが「離脱率を下げたい」という課題を持っていたとします。
しかし実際に収集・分析していたデータはPV数や平均滞在時間などのアクセス解析指標に偏っており、「なぜ離脱が発生しているのか」を把握できるデータは存在しませんでした。
調査を進めると、離脱の主因はUIではなく配送条件にあることが判明しました。
この事例が示すのは、分析以前に「分析の目的」と「取得するデータ」がずれていたという構造的な問題です。
データを収集する前に「何を決めたいのか」「その意思決定に必要なデータは何か」を明確にしておかなければ、どれだけコストをかけてデータを取得しても意味のある洞察は得られません。それは「分析ごっこ」に終わるだけです。
理由③ 上位者の意向によって結論がすり替えられる
これは多くの組織に共通しているのですが、結構見過ごされがちな問題です。
調査結果でA案がユーザーから最も高い支持を得ていたとします。それを会議で報告した途端、社長や上司が「私はB案の方が好きだな・・・」なんて発言をすることがあると思います。
すると場の空気がガラッと変わり、「では今回はB案で進めましょう!」という結論になってしまう訳です。
これは笑い話ではなく、リサーチや意思決定の現場では実際によく起こる状況です。
データがA案を支持していても最終的にB案が採用され、結果として市場での反応も芳しくない。そうした事例は決して珍しくありません。
「データドリブン経営」を標榜していても、「社長ドリブン」「上司ドリブン」の意思決定構造が残っている限り、データは機能しません。
むしろ多くの企業においては、分析手法を改善する前に意思決定のプロセスそのものを見直すことの方が先決です。
解決策:データドリブンを本当に機能させる3つのアプローチ
以上の課題を踏まえ、データドリブンを実効性あるものにするためには、次の3点が不可欠です。
- 目的ファーストでデータを設計する
収集を始める前に「何を決めたいのか」を明確にし、その目的に必要なデータだけを収集します。 - 仮説をいったん棚上げし、データの事実からストーリーを組み立てる
分析の段階では先入観を排し、数字が語る事実に忠実にストーリーを構築します。 - 組織に「数字から学ぶ文化」を根付かせる
データドリブンはツールの問題ではなく、文化の問題です。経営層を含めた組織全体で、データに基づいて判断する姿勢を醸成することが求められます。
まとめ
多くの場合、データドリブン経営の失敗はテクノロジーや分析手法の問題ではありません。
バイアス、設計のずれ、そして組織の意思決定構造・・・この3つの本質的な課題に向き合わない限り、いくらデータを集めてもその価値は発揮されません。
データを「見たい現実の確認ツール」ではなく、「見たくない現実を映す鏡」として活用できる組織こそが、真の意味でデータドリブンを実践しているといえます。
















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