ブランド認知を数値化する方法

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こんにちは!
マーケティングリサーチアドバイザーの渡邉です。

日頃色々な企業のマーケティングの相談を受けておりますが、多くの方々が困っていることの1つに『ブランドの認知が上がらない』というのがあります。

どんなに素晴らしい企業でも、どんなに素晴らしい商品でも、それを知っている人がいなかったら誰も買ってくれません。
その為、マーケティングにおいてブランドや商品に対する『世間の認知』というのは当然ですがとても重要です。

従いまして、『自社ブランドや商品の認知率』をアンケートによって定期的に調査している企業は多々あります。
単純に『自社ブランド(商品)を知っているか』をアンケートで聴けばよいのですが、しかしながらその調査手法や結果をきちんと理解、活用できていない方が多くいらっしゃいます。

そこで今日は、単純だけど奥が深い、『ブランドや商品の認知率』をアンケートで聴取する方法について説明したいと思います。

純粋想起と助成想起

まず、ブランドや商品に対する認知率をアンケート調査で測る場合、やり方としては2種類あります。
『純粋想起』と『助成想起』という方法です。1つずつ説明します。

純粋想起とは

純粋想起とは読んで字のごとく、『純粋に想(思)い起こさせる』という事です。
例えば、

日本の自動車メーカーと聞いて、あなたが思い起こすブランド名を全て挙げてください。

という形で何もヒントを出さずに自動車メーカーのブランド名を思い起こさせ、認知率を測る方法を指します。
日本の自動車メーカーといえば、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ・・・とたくさんありますが、回答者が思い出せる限り(時には「3つ挙げてください」など数の制限を設ける場合もありますが)思い出して書いてもらいます。

これを集計して自社ブランドを挙げてくれた回答者が何%いるのかを算出すれば、それがそのブランドの認知率(純粋想起率)になる訳です。

またこの時、回答者が一番最初に思い出したものを『第一想起』と呼びます。
例えば上記の例の場合、トヨタ、ホンダ、日産・・・の順に自動車メーカーを思い出したのであれば、第一想起は「トヨタ」になります。
そして、自社ブランドが一番最初に挙げられた確率を『第一想起率』と呼びます。

要するに、一番最初に思い出したものというのは回答者にとってテーマと一番関連が強いと思っているということなので、分析の際にちょっと特別扱いしたりする訳です。

助成想起とは

一方で助成想起とは、こちらも読んで字のごとく、『助成して想(思)い起こさせる』という事です。
自動車メーカーの例で言えば、

あなたは「トヨタ」という自動車ブランドを知っていますか?

という形で、ブランド名(または商品名)を質問文の中に具体的に出して、認知率を測る方法を指します。
例えば100人に聴取をして90人の方は「知っている」と答えたのであれば、認知率は90%になります。

もしくは、

以下の自動車ブランドの中から、あなたが知っているものを全てお選びください。
1. トヨタ
2. ホンダ
3. 日産
4. マツダ
5. スバル
6. ダイハツ
7. スズキ
・・・(以下略)

という風に選択肢を設け、自社ブランドを選択した方が何%いるかを算出する方法も助成想起です。

それぞれの手法を使う時の注意

上記のようにブランド認知を測る方法には大きく分けて2種類あるのですが、たまに認知率を測るのに純粋想起と助成想起のどちらがよいのか?という質問を受けます。
結論から言うと、特にどちらが良い/悪いという事はありません。両方よく使うので、好きな方を使っていただければよいと思います。

ただ1つだけ注意しなければならないのは、純粋想起で得られた認知率と助成想起で得られた認知率は比較してはいけません。

上記の説明を読んでいただければおわかりかと思いますが、基本的に純粋想起による認知率は、助成想起による認知率よりも低くなる傾向があります。
助成想起はヒントがある中で答えている一方、純粋想起は何もヒントがない状態で回答するので、その分思い出せる人は少なくなるのです。

異なる方法で算出された認知率ですから、絶対に比較してはいけません。
先日ある雑誌に、「外国人が行きたい日本の観光地」という特集が組まれていたのですが、数年前に外国人を対象に調査をした時には姫路城の認知率は60%程度だったのに、今年調査をしたら90%を超えていたという記事が載っていました。

よく記事を見ると、数年前の調査は「純粋想起」だったのに、今回は「助成想起」で得た結果でした。
そんな風に雑誌の記者も間違って載せてしまうくらいですので、是非気を付けてください。

認知率をもう一歩踏み込んで分析する(トップオブマインド)

さて、このようにブランドの認知率を測るのには2つの方法があるのですが、ここでもうちょっと踏み込んでデータを活用する方法を紹介します。
『トップオブマインド分析』という方法です。

トップオブマインド(TOM)分析とは

この分析は市場の中にいくつかの強力な競合(ライバル)がいる時によく活用されます。
要するに、そのライバルが多数いる市場の中で、自社ブランド(商品)はどんなイメージを持たれているのかを簡易的にではありますが知ることができるのです。
(ブランドイメージを詳しく分析したい場合は、別途紹介しますが他の手法があります。)

TOM分析を行う為のアンケート作成

ここではチョコレートのトップオブマインド分析を行う際の例を紹介します。アンケートで必要な質問は以下の2つです。
純粋想起と助成想起の両方で認知を取り、認知率を算出します。

1.チョコレートと聞いて、あなたが思い浮かべる商品名を全て挙げてください。(純粋想起)
2.<選択肢を設けて>以下のチョコレートの中から、あなたが知っている商品を全て選んでください。(助成想起)

ここで重要なのは、アンケートを作成する際に必ず純粋想起を聞いてから助成想起を聞くという質問順序にして下さい。
これを逆にしてしまうと、回答者は助成想起でブランドの選択肢を見た後に純粋想起を行うことになるので、純粋な想起ではなくなってしまいます。

また回答者が純粋想起で答えている最中に、次の助成想起の選択肢が絶対に見えないようにして下さい。
Webアンケートであればこれらの2つの質問の間に改ページを入れれば大丈夫ですが、紙のアンケートの場合は何らかの工夫が必要になってきます。

この順序と方法を間違えると、純粋想起のデータが使い物にならなくなってしまうので気をつけて下さい。

TOM分析に必要なデータ処理

この2つの質問を行い、各商品の純粋想起率(または第一想起率)と助成想起率を求めます。

そして以下のグラフのように横軸を純粋想起率、縦軸を助成想起率にして(逆でも問題ありませんが)散布図を描きます。
更に純粋想起率と助成想起率のそれぞれの平均を求め、各平均値に縦軸、横軸を引きます。
そうすると、各商品の点が4つのエリア(象限)に分かれますよね。

ここまでできればデータ処理は完了です。

 

TOM分析結果の解釈

純粋想起率と助成想起率は、方法は異なるもののどちらも各ブランドの認知率ですので、基本的には相関関係にあります。
要するに上記のグラフだと、純粋想起率の高いブランドは助成想起率も高くなる(右上の象限に位置する)はずですし、逆に純粋想起率が低ければ助成想起率の低い(左下の象限に位置する)のですが、ただブランドによっては例外もあります。

その為、各ブランドは右上、左上、右下、左下のどれかの象限に位置するはずであり、どこに位置するかがそのブランドの認知状況を示しています。
1つずつ説明しましょう。

① リーダー(右上の象限)
まずこの領域に位置するブランドは、純粋想起率、助成想起率ともに高いブランドになります。右上に位置するほどその市場で広く認知されている、いわばその市場の「勝ち組」と言えるブランドです。

ここに位置するブランドはその市場のリーダーとも言えるので状態としては非常に良いのですが、今後このポジションを維持し続ける事が戦略のポイントとなってきます。人間は忘却する動物ですので、満足してあぐらをかいていると忘れ去られてしまいます。

② レガシー(左上の象限)
純粋想起率は低い一方で助成想起率は高いブランドがここに位置します。要するに言われれば知っているのですが言われないと思い出せない、そういえばそんなブランドもあったねえ・・・という感じのブランドです。いわゆるちょっと「いにしえ」っぽい感じを醸し出しているブランドになります。

従いまして、ここに位置するブランドは「若返り」を図っていく必要があります。時代に合わせた広告を展開する、または流行に合わせた商品を作るなど戦略をとらないとどんどんブランドが老化していってしまうことでしょう。

③ マイノリティ(左下の象限)
純粋想起率、助成想起率ともに低いブランドがここに位置します。これはまだできたてのブランド、もしくはマイナーなブランドで市場に浸透していない状態を指します。

ここに位置するブランドは四の五の言わず、まずこの領域から脱却することを考えましょう。できたてのブランドはあまりコストをかけられない場合が多く、どうしてもプロモーションの量が少なくなってしまうのですが、ある程度の定期的な広告宣伝はやはり必要です。

④ ニッチ(右下の象限)
純粋想起率は高い一方で助成想起率は低いブランドになります。ここに位置する事はまれなのですが、要するにコアな支持者を獲得しているものの、まだ広く認知はされていないブランドです。「知っている人は知っている」という感じでしょうか。

うちのブランドはニッチでいいんだ!というのであれば、この位置でよいと思います。ですが、現状に満足していないのであればコア層だけではなく、支持者の拡大が必要になります。

という形で、自社ブランドが市場の中で現在どんな位置づけなのかを簡易的にではありますが知ることができます。

認知率調査は定期継続が大事

最後にもう1つ注意事項をあげると、認知率調査は1回だけではなく、定期的に行う事が大事です。
月に1回でも年に1回でも構いません。

なぜなら人間は忘却する動物ですので、自分のブランドの認知率が高くなったからといってそれが今後ずっと維持されるとは限らないからです。
広告の量や質に大きく左右されます。

その為、認知率を継続的に測り、下降傾向にあれば早急に何らかの対策を打つ必要があります。

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