『地域ブランド調査』に感じる違和感

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こんにちは!
マーケティングリサーチアドバイザーの渡邉俊です。

先月(2018年10月)に『地域ブランド調査2018』の結果が公開されました。
メディアでも多く取り上げられているのでご存知の方も多いと思いますが、この調査は(株)ブランド総合研究所が毎年実施している調査です。
約3万人に対してアンケート調査を実施し、日本国内の各都道府県及び各市町村の魅力度をスコア化して発表しています。

この調査が公開されるたびにテレビやラジオなどでもその順位が取り上げられますよね。

しかし、これは毎年思うのですが、この調査結果の使われ方に何だか違和感があります。

私自身が群馬県出身であり、かつ群馬はいつも最下位争いしているので『ただそこに文句があるだけだろ!』と思われるかもしれません。

まあ、ない訳ではないのですが(笑)。でもそれだけではありません。
マーケティングリサーチを職としている自分として、リサーチという観点から言いたい事があるのです。

今日はそこについてお話ししたいと思います。

 

『地域ブランド調査』の調査概要

以下が公開されている2018年度の調査概要です。
毎年同じ条件で実施をして時系列での比較が可能です。

 

調査結果速報から引用しています。

【調査方法】インターネット調査
・回答者 20 代~70 代の消費者を男女別、各年代別、地域別にほぼ同数ずつ回収し、日本の縮図になるように、年齢や地域人口の分布にあわせて再集計した。
【有効回収数】約3万人
(1人の回答者は 20 の地域について回答。その為地域ごとの回答者数は平均で 566 人)
【調査対象】全国 1000 の市区町村(全 791 市+東京 23 区+186 町村)と 47 都道府県
【調査時期】2018 年 6 月~7 月
【調査項目】計84項目
・認知、魅力、情報接触、観光意欲、居住意欲、情報接触経路(「旅やグルメに関する番組」など 14 項目)
・地域コンテンツの認知(「海・山・川・湖などの地理的名称」など 16 項目)
・訪問経験(「行楽・観光のため」など 16 項目)
・地域資源評価(「街並みや魅力的な建造物がある」など 16 項目)
・まちのイメージ(「歴史・文化のまち」など 14 項目およびイメージ想起率)
・産品購入意欲、産品想起率(食品、非食品をそれぞれ自由記述)

84の調査項目をベースに、各都道府県の魅力度をスコア化しているようです。

この調査方法について特に何か文句がある訳ではありません。
その地域の魅力をどう計るか?というのは結構難しいですが、これは調査する方の考え方次第ですので。

 

なぜ地域の魅力度を『順位』で語るのか?

私が言いたいのは調査の方法ではなく、そこから得られた『結果の使い方』です。

2018年の結果では、一番魅力的な都道府県は北海道であり、一方茨城県が6年連続最下位でした。
これが大きく報道されています。

しかしここが何とも違和感ある点で、果たしてこの調査結果に順位をつけていいのでしょうか?

この順位に『有意差』はあるのか?

統計学には『有意差検定』というものがあります。
詳しい説明は別のコラムに書きますが、要するにの結果がたまたまなのか、そうでないのか?』を検定する事を指します。

例えば2018年度の都道府県別魅力度ランキングは添付の通り、1位から47位までランク付けされていますが、果たしてこの調査を同じ条件で100回行ったら100回とも同じランキングになるのか?という事です。

100回とも同じ結果というのはちょっと難しいですが、少なくとも100回中95回、いや90回くらいは同じ結果にならないと信頼できるランキングとは言えません。

おそらくですが、同じ結果にはならないと思います。
例えば9位:長野県(魅力度26.4pt)と10位:長崎県(魅力度26.3pt)の間には0.1ptしか差がありません。
多分同じ調査をやると、この順位が逆になることも多々あるはずです。

また31位の新潟県(15.2pt)も、前回26位から5つランクダウンという事になりますが、スコアを見てみると26位の岩手県(15.8pt)とは0.6pt差であり、もう1回同じ調査をやれば26位で現状維持だった可能性もあるのではないでしょうか。

もしそうでれば、今回の順位は『たまたま』の結果であって、正確な魅力度の順位ではないはずです。

 

スコア化した値の有意差は検定できない

このように同じ条件で調査をやっても高確率で同じ結果になるかどうか?を検定する事を『有意差検定』と言います。

また高確率で同じ大小関係、または同じ上下関係になることを『有意に差がある』と言います。
そして、通常100回中95回(または90回)以上同じ結果になる事がわかれば、有意に差があるということになります。

もちろん、この有意差を検定する為に、同じ調査を100回行う必要はありません。
検定は統計学的な計算によって行います。
(その計算方法を語ると膨大な時間を要するので今回は省略します。)

但し、今回のようなスコア化された数値の有意差を検定する方法はありません。
計算方法を開発すればできるのかもしれませんが、かなり難しいと思います。

従いまして、各順位に有意差があるのかどうかがわからないのに、ランキングをつけることは統計学的に「ダメ」なのです。

調査結果を公表することに対する責任

そんな固い事言わなくても、順位を付けた方が面白いからいいんじゃないの?と思う方もいるかもしれません。

確かにその方が話のネタにはなります。
去年に比べてうちの故郷は〇位上がったとか、〇位下がったとか。確かにテレビでは『笑いのネタ』でこの結果を使われています。

但し、この結果次第で自分の処遇が大きく変わる人も世の中には存在するのです。
県庁や地方の役所の中で、その地域のブランド力向上を担当している方々です。

現在、どれくらいの地方自治体がこの調査結果を重視しているのかわかりませんが、順位が下がれば「この結果をどう受け止めるのか!?」なんて責められる方も実はいらっしゃるのです。

であるならば、有意に差があるかどうかも検証できないデータに対してむやみにランキングを付け、それを公表するのはどうなのかなと思っている訳です。

 

見るべきは『スコア』の変化

だからといって、この地域ブランド調査を軽視しろとは言いません。
表面的な順位だけで一喜一憂するのではなく、むしろ中身をきちんと分析して使うべきと思います。

もっと言えば、見るべきなのは『順位』ではなく『スコア』そのものです。
調査元のブランド総合研究所も調査速報の中で報告していますが、2009年と2018年の結果を比較すると、魅力度上位の都道府県と下位の都道府県の点差が縮まってきています。

個別に見ると、石川県や広島県などは9年間でスコアを7pt以上良化させています。
しかしその一方で、魅力度上位の北海道や沖縄県は10pt前後悪化しています。

基本的にスコアの算出方法は毎年変わっていないはずですから、なぜ良くなったのか、悪くなったのかを分析すれば地域ブランドを向上させる為のヒントが掴めるはずです。

これはリサーチャーとして、また地方出身者としての意見ですが、地域ブランドの順位が上がった下がったで一喜一憂するのは正直飽きました(笑)

こうしているうちにも地方はどんどん衰退しているのですから、何とかしないとです。

 

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