マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
今日は『ブランドイメージ』についてのお話です。
人が何かを購入する際、その商品やブランドのイメージが大きく影響します。
どんなに良い商品であったとしてもそのイメージが悪ければお客さんは買ってくれませんし、品質はさほど良くなくてもイメージが良ければ売れてしまう事もあります。
品質は良くないのにイメージが良いから売れている商品・・・頭の中にいくつか浮かぶのではないでしょうか(笑)
従いまして、ブランドイメージを管理することは品質管理と同じくらい重要な事なのです。
そしてイメージを管理する為には、『世間一般の方々が自社または自商品についてどのようなイメージを持っているのか?』を定期的に調査して把握する必要があります。
今日はその『ブランドイメージ』に関する調査方法についてお話しします。
『ブランドイメージ』を把握する調査
ブランドイメージ調査とは?
『ブランドイメージ調査』とは、対象となる商品やブランドについて世間の方が持っているイメージを把握する調査です。
例として、このグラフではA~Dの4つのブランドについてイメージを調査したものです。
これを見ると、
●ブランドA、B、Cは大きな違いはないが、ブランドBは『値段が手頃な』というイメージがやや弱く、またブランドCは『個性的』というイメージが強い。
●この中で一番特徴的なのはブランドDであり、『親しみやすい』、『先進的』というイメージが強い一方、『職人技である』、『高級感がある』は弱い。
という事が分かりますよね。
このように、ブランドイメージを把握する場合はいくつかの『イメージワード』を設定し、その強弱をアンケートで聴取するのが一般的です。
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ブランドイメージ調査に必要な質問
このアウトプットを出す為の質問はそれほど難しくはありません。
以下のような質問を設定したイメージワード毎に聞き、その結果をスコア化するだけです。
『あなたは〇〇(会社名や商品名)について、以下の言葉はどの程度当てはまると思いますか?以下の中から当てはまるものを全てお選びください。
1.とてもそう思う
2.そう思う
3.どちらともいえない
4.そう思わない
5.全くそう思わない
上のグラフの場合、各イメージワード毎に『1.とてもそう思う』を4点、『2.そう思う』を3点、『3.どちらともいえない』を2点、『4.そう思わない』を1点、『5.全くそう思わない』を0点として平均点を求めています。
こちらはブランドAの『伝統のある』というイメージに関する結果です。
651人が回答をしていますが、これの平均点は、
となりますので、スコアは2.9になります。
これを各イメージワード毎に計算します。
ブランドイメージ調査の注意点
どんなイメージワードを設定すべきか?
いざブランドイメージ調査をやるとなった時に必ず迷うのが、『どんなイメージワードを設定するか?』です。
そこが一番のポイントですね。
基本的にイメージワードは、
●自商品にどんなイメージを持ってもらいたいのか?⇒これが一番重要
●お客様は競合にどんなイメージを持っていそうなのか?
●その業界で生き残る為に必要なイメージは何か?
を考慮した上で設定します。
例えば、先ほど上で見せたブランドイメージ調査は、男性用カバン業界の複数のブランドに対して行ったものですが、この中で、
●『伝統のある』、『高級感がある』、『職人技である』
⇒自商品(ブランドA)に抱いてもらいたいイメージ
●『おしゃれ』、『個性的』、『先進的』、『値段が手頃な』
⇒競合(ブランドB、C、D)に対してお客様が抱いていそうなイメージ
●『安心・信頼できる』、『品質がよい』、『親しみやすい』
⇒カバン業界を生き残る為に必要なイメージ
という事を想定してワード設定しています。
この3つの中で一番重要なのは、『自商品にどんなイメージを持ってもらいたいのか?』です。
自分の商品についてですから最優先で調査をしなければなりません。
但し、設定するワードが多すぎると回答者に負担がかかります。
上記のカバン業界のブランド調査の例ではワード数:10個 x ブランド数:4個なので、合計40個の評価を回答者は行っています。
この評価数が多すぎると回答者もモチベーションをなくしてしまいます。
回答者の負担を考慮してワード数を調整しましょう。
イメージワード検討に便利なサイト
基本的にイメージワードは形容詞か形容動詞になります。
その為、どんなワード設定にすべきか迷った時、僕自身は『ウィクショナリー』で色々な形容詞、形容動詞を見て発想したりします。
迷ったら是非こちらを見てください。
もちろん上記の事例の『値段が手頃な』のように複合的なワードにすることもありますので、あくまでウィクショナリーは発想の起点にするものです。
ネガティブなワードを設定しない
基本的にイメージワードは、意味がポジティブなものを選びます。
当然ですが、例えば『陳腐な』、『貧しい』、『在り来たりな』というネガティブな意味を持つイメージは自分に付いて欲しくないですよね。
それと、設定したものの中にポジティブなワードとネガティブなワードが混在すると、データをまとめる際にややこしくなります。
ポジティブなイメージワードはスコアの値が大きいほど良いのに対し、逆にネガティブなイメージワードは値が小さいほど良い事になりますよね。
なので、混在するとグラフが見にくくなってしまうのです。
設定するワードはポジティブな意味を持つもので統一する。これがセオリーです。
調査対象者は『中立的に評価できる人』
これもかなり重要なポイントです。
ブランドイメージ調査を行う場合、基本的には『アンケートモニターパネル』などを使って中立的に評価できる人に回答してもらう必要があります。
たまに、自社商品の購入者や自社の会員登録者などを対象に、自社及び他社ブランドのイメージ調査を実施する方がいます。
費用も安く済みますが、それだと自分のブランドのイメージは本来よりも良い結果になり、競合のブランドイメージは悪い結果になるはずです。
自社商品を購入しているということは自社に不満を持っている可能性は低いはずですから当然ですよね。
これは言い換えれば、自社びいきの調査をやってしまっている事になります。
従いましてブランドイメージ調査を行う際には、『どうすれば中立的な評価ができるか?』を考えてアンケートの対象者条件を設定する必要があります。
※アンケートモニターパネルについては以下で詳しく解説しています。
中立的な評価を行う調査には絶対に必要なツールですので、是非ご覧ください。
ブランドイメージは日々変化する
ブランドイメージ調査は1回やっておしまいではなく、定期的に実施する事を是非ともおススメします。
なぜなら1つのブランドのイメージは広告の内容や出稿量、商品やサービスの質、価格の改定、値引きなど多くの要因で時間と共に変化しているからです。
今回結果が良かったとしても1カ月後に同様の結果が得られるとは限りませんし、また逆もあり得ます。
ですからブランドイメージ調査は、同じ間隔で定期的に実施し、結果をトラッキングする必要があります。