マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉です。
今日はマーケティングに関する『センス』というものについて考えてみたいと思います。
これまでこのブログではマーケティングに関するノウハウや知識をたくさん書いてきましたし、また僕が主催しているセミナーや講演などでも話をしています。
しかしいくらノウハウを持っていても、それをイマイチ活かし切れてない人もいます。
そこで必要なのがマーケティング戦略を考える為の『センス』です。
センスと言ってしまうと生まれ持ったモノのようなイメージがありますが、僕自身は『誰でもいくらでもセンスは磨く事ができる』と思っています。
今日はその辺についてツラツラと書いてみます。
マーケティング・センスがない人達の共通点
『知識、スキル、ノウハウ、テクニック』と『センス』
何年も同じ仕事をしていると、知らないうちに専門の知識やノウハウ、スキル、テクニックが積み重なって身に付いていきます。
それはマーケティングの世界でも同様の事です。
しかしながら、どの分野でもそれ以外に『センス』というものがあって、これはノウハウやスキル、テクニックとはちょっと違います。
『センスが良い』というのは勘所を押さえている、感覚(感性)がいいなどの意味で使われていると理解しています。
従いまして、『めちゃくちゃ詳しくて色んなテクニックを知っているんだけど、何だかあいつの提案はズレてるんだよなぁ。』という人は、まさにスキルやテクニックを持っていてもセンスがない典型例です。
【センスの上げ方①】現場の生情報を取れ!
オフィスワークよりフィールドワーク
マーケティングに関して色々な知識なノウハウを知っているのに、センスのない提案をしてくる人には共通点があります。
それは『ターゲットとしているお客様や見込み客に直接会っている回数が圧倒的に少ない』という事です。
マーケティングというとどうしても『オフィスワーク』というイメージがあり、会社や自分の机の前で作業するものだと考える人が多いです。
しかし、やっぱり自分のターゲットとしているお客様がどんな表情で自分の商品を見て、またどんな言葉で自分の商品を評価しているのかを間近で聞くことは商売を行う者として超重要です。
従いまして、マーケティング・センスを磨きたいと思っている人は是非自分のお客さんに会う機会を積極的に増やすこと、いわゆる『フィールドワーク』の回数を増やして下さい。
直接会うのが一番ですが、状況によってはZoomやSkypeなどを使ってリモートで話を聴くのでも構いません。
<練習方法> 無理矢理でもお客さんと会う機会を作る
フィールドワークは自分の商品の売り場やサービスカウンターでお客さんと接してもよいですし、それが無理なら遠目から観察するだけでも構いません。
またコンサル業など対法人のビジネスをやっている方は、お客さんをランチや飲みに誘ってもよいです。
それがマーケティングセンスを上げる第一歩になります。
僕が以前自動車メーカーでマーケティングの仕事をしていた時、月に2~3回くらいプライベートの時間を使って家の近くのディーラー(販売店)に行ってお客さんを観察していました。
その時に気づいたのですが、当時自動車ディーラーの店の前には必ずと言っていいほど『幟(のぼり)』が立っていました。(今もありますが)
ただその時に『この幟って集客やお客さんの購買行動に対して本当に効果があるのかな?』と考えたのです。
そこで来店したお客さんに『来店前にある幟の内容を見たか?』と質問してみたり、また幟の有る無しで来場客数に差があるのかを調べた事があります。
結論としては全く効果がなく、逆に幟があることで外から店舗内の様子が見えなくて入りにくいという心理を生んでしまう事が分かりました。
その為、幟は完全撤去もしくは本数を減らすという自動車ディーラーが現在は増えてきています。
こういったアイデアは”何かを発見しよう”という意識を持って現場に行かない限りは浮かびませんし、また現場でお客様の行動を観察したり、直接聞いたりしないと検証できません。
センスのいい人は素晴らしいフィールドワーク能力を持っていますし、更にそこから得た生の情報を基にして色々考えます。その結果、『何だか言っていることがずれているなあ』と感じさせることがありません。
知識やノウハウを頭の中に蓄えるだけではうまくはいかないということを是非覚えておいてください。
現代のビジネスマンはお客さんを知らない
上でも書きましたが、現代のビジネスマンはターゲットとしているお客様や見込み客と直接会う回数が圧倒的に少ないです。特にそれは、Web上で商売を行っているビジネスに当てはまります。
Web上で自分の商品がどんどん売れていくのは良い事ですが、
“どんな人が買ってくれたのか?”
“なぜその人は自分の商品を買ってくれたのか?”
くらいはきちんと押さえておかないと、いざ商品の売れ行きが悪くなった時に有効な方策を考える事ができません。
今の売れ行きは上々でも、いつか必ず売り上げの落ちる時が来ます。
Web上でビジネスをやっている人は無理やりにでもお客様と会う機会を作って話す機会を設けてみて下さい。そこから得られる情報は非常に役に立ちます。
【センスの上げ方②】人間の『欲』を有効活用せよ!
なぜ福袋は黙っていても売れるのか?
マーケティングというと聞こえはよいですが、結局のところ“人間の『欲』を最大限利用して自社商品を買ってもらえるよう仕向ける方策を考える”という事に他なりません。
これはよく覚えておいてください。人間の『欲』を有効利用するのです。
例えば、女性用化粧品のCMにおじさんが出演する事はまずなく、ほぼ100%綺麗な女優を起用しますよね。
これは言い換えれば、“私もこうなって周りを驚かせたい!”という女性の承認欲求や、“私の憧れの〇〇さんが使っている化粧品を私も使いたい!”という心理を利用しています。
また正月にわざわざ列に並んでまで福袋を買うのは、“もしかしたら掘り出し物を格安で手に入れられるかもしれない”という一種のギャンブルに似た行動の不合理性を利用していたり、“正月だからこそ何か縁起物が欲しい!”という日本人独特の心理をついています。
このように優れたマーケティング戦略を創れる人というのは、人間の『欲』を理解していてそれを巧みに利用します。
<練習方法>規制や罰則抜きでの解決方法を考える
国会では何かあれば法律や条例を作り、それを破った人には罰則を与えるという形で国が目指す姿に近づけていきます。
こうすれば様々な課題は解決できますが、マーケティングにおいてはお客さんに罰則を設ける事はできません。
『この商品を買わなかったら罰を与える!』なんてことをしてしまったら大問題ですからね(笑)
従いまして、人間の『欲』を使って効率的なマーケティング戦略を創る為のセンスを磨くには、自分の周りで起こっている課題を規制や罰則抜きで解決できないかを考える癖を付けるのが一番です。
例えば、なかなか勉強をしたがらない小学生をお持ちのパパ、ママの場合、
『学校から帰ったらまず宿題を片付けること!守らなかったら今後1週間ゲーム禁止!』
なんて罰則を与えるよりも、
『学校から帰ってすぐに宿題を終わらせたら、いつもより+10分長くゲームやっていいよ!』
というインセンティブ(=動機付け)を与えてあげる方が、マーケティングセンスという点では良い方法です。
または会社でも、社員の出社時刻をあと30分早めたいとしたら、
“就業規則を改訂して始業時刻を30分早める!”という方法も悪くはありませんが、
“30分早く出社した人には1ポイントを付与し、10ポイント溜まったら有給休暇を+1日多くする!”という風にした方が社員の出社意欲を高められます。
本当にそれを実行するかは別として、マーケティングセンスを上げる為には規制や罰則で処理しがちな事を人間の『欲』を有効利用して解決できないか考える癖を付けてみて下さい。
まとめ~要はお客さんという『人間』を理解しているか~
マーケティングセンスの上げ方については他にも色々ありますので、必要に応じてこのブログで紹介していきます。
※ちなみに無料メール講座でも色々書いてますので、是非購読登録してみて下さい!
要するにマーケティングセンスとは、”自分がターゲットとしているお客さんの特性を理解しているかどうか”という事にまとめられると思います。
ターゲットとするお客さんがどんな人で、どんなことに興味があって、何を欲しているのかをきちんと理解していれば戦略を大きく外すことなんてないはずです。