『値付け』の悩みをたった1つのアンケートで解決する方法

こんにちは!
マーケティングリサーチアドバイザーの渡邉です。

 

皆さんは自分の商品やサービスを販売する時、
『いくらで売ろうか・・・?』
と悩んだことありませんか?

悩みに悩んで、結局最終的には『えいやっ!』っと決めてしまう方も多いのではないでしょうか。

またなかなか自分の商品が売れない時、まず疑ってしまうのがその商品の値段です。

『ちょっと高く設定しすぎたかな・・・』
『少し値引きしようかな・・・』

なんて考える経営者の方も多いのではと思います。

 

当然ですけど価格ってビジネスを行う上でかなり重要なんですよね。
だってお客様側からみれば、その商品を買うかどうかの最終判断をする為の判断材料なんですから。


じゃあ、自分の商品はいったいいくらで売れば、
お客さんは喜んで買ってくれるのか?

自分の商品の適正価格っていくらなのか?

 

皆さんは知りたくありませんか?

今日はこれについてお話したいと思います。

 

価格が持つ3つの意味

 

まず、『価格』というものに関して基礎的な話をします。

その前に、価格に関するマーケティングについて非常に参考になる本を1つ紹介しておきますね。

 

売りたいなら、値下げはするな!日本一わかりやすい価格決定戦略

 

これは価格マーケティングの日本の権威である学習院大学の上田隆穂先生が書かれたものです。

 

私は価格について悩んだ時、この本をバイブルとして読んでいます。是非良ければ皆さんも読んでみてください。

そしてこの本によると、ちょっとアカデミックな話になってしまいますが、『価格』というものには3つの意味があると書かれています。

  • 支出の痛み
  • 品質のバロメーター
  • プレステージ性

の3つです。

1つずつ説明していきます。

 

支出の痛み

突然ですが以下の文章をご覧ください。

 

松坂牛ヒレ肉300g: 30,000円

 

いかがでしょう?
皆さんはこの肉、買いたいですか?

大抵の人は『食べたい!でも高い!』と思うのではないでしょうか。

一度は食べてみたい松坂牛、でも3万円はちょっと・・・と言った感じでしょうか。

 

しかし翌日、もし以下のように値段が変わっていたらどうですか?

 

松坂牛ヒレ肉300g: 30,000円 15,000円 (50% OFF!!)

 

お、これなら手が届きそうだ。まあまだ高いけど、折角だから食べてみようか・・・なんて思っちゃいますよね。

 

価格というのは、支出の痛み』という意味を持っています。

価格3万円という事は、『これを買うと3万円分、あなたの財布は痛みを伴いますよ』ということです。

逆に上のように価格が1万5000円になれば支出の痛みは半分になったということです。

これは普段買い物している人であれば
(買い物を全くしない人はいないと思いますが(笑))
よくわかるはずです。

 

品質のバロメーター

でもその反面、
“なんでこんなに安くなったの?”
“もしかしたら賞味期限ギリギリで味が落ちてるんじゃないの?”

なんて ちょっと疑いの目を持つこともあるでしょう。

 

皆さんがそう感じるのは、価格は品質のバロメーター』という役割もあるからです。

上記の例のように、変に値引きをされていたら『なんでだろう?』って疑いますよね。

 

もちろん実際問題、”安いモノ=品質の悪いモノ”という訳ではないです。安物でも良い商品はたくさんあります。

ですが、人間という動物は、値段によってその商品の品質の良し悪しを推測するという習性を持っているのです。

またその逆として、「この肉は高いから、とってもおいしいに違いない」という風に”値段が高いモノ=品質の良いモノ”と解釈してしまう事もあります。

 

要するに人間は、設定されている価格そのものでその商品の質を判断してしまうものなのです。

 

プレステージ性

そしてもう1つ価格が持っている意味として重要なのが『プレステージ性』です。

日本語に訳すと名声とか威信といった意味になりますね。

 

もしこの松阪牛の肉を買うとなったらあなたは、

『私は3万円の牛肉が食べられるほどすごい人間なんだ!』とか
『こんな高いモノを買える私を、周りの人は尊敬してくれるだろうな・・・』

といった気持ちになるのではないでしょうか?

 

これがいわゆる、プレステージ性です。

人間は成功すると、『尊敬されたい』という欲求が出てきます。

しかし、自分から「俺をもっと尊敬しろ!」とはなかなか言えませんから、購入した物やサービスに、自分に代わってそれを周りに伝えてもらうとするのです。

まずこの3点は、価格を考える上で大変重要なポイントです。
暗記してでも絶対に覚えるようにして下さい。

 

値付けは戦略である

皆さんが自分の商品に値段を付ける際、どのような考えで値付けしているでしょうか?

結構陥りがちなのは『お客さんの為にとにかく値段を安くしてたくさんの人に買ってもらおう!』という考えです。

安い事は悪いことではありません。
お客様の『支出の痛み』を軽減させる訳ですから。

 

しかし一方でむやみやたらに安く売るとお客様はその品質自体を疑うようになってくるので、商品のブランドそのものを傷つける恐れがあります。

輪島塗や唐津焼などの伝統工芸品は決して安くないですよね。
安くしてしまうとお客様はその品質に疑念を抱くようになり逆に売上を落とす可能性が大いにあります。

(もちろん、大量生産できないから値段を安くできないという理由もありますが)

 

加えて、このような伝統工芸品を買う人は『自分は高い値段で唐津焼を買える人間なんだ!』という優越感に浸れます。

プレステージ性ですね。

ですから、価格というのは戦略性を持って設定する必要があるのです。
適正な価格を付けるのは結構難しいことなのですが、上記の3要素をよく考慮して決定する必要があります。

 

安易な値下げは破滅の一歩

実際に価格戦略を間違えて破滅寸前に陥った例は世の中にいくつもあります。

これはある日本の有名ホテルのお話です。

そのホテルは日本国内の有名人はもちろん海外からのVIPも来日した際に宿泊する程の由緒正しいホテルです。
宿泊料金は一番小さな部屋でも1泊3万円以上と一般の人々はとても泊まれないレベルです。

 

しかしバブル期の後、宿泊者数が徐々に減少して経営が傾きはじめました。

その為このホテルでは平日1泊1万円という格安プランを打ち出したのです。

部屋数や期間は限定だったものの、このプランは驚く程の集客力を発揮し実施期間は大幅に延長となりました。

 

しかしこの低価格キャンペーンが破滅の道へと誘います。

従来のコアユーザーであるロイヤル顧客が来なくなってしまったのですね。

 

たくさんのお客さんに来ていただくことは大事なのですが、利益の源泉となるのは高い価格でも来てくれてリピート率も高いコアユーザーの方々です。

これらの”良質な”お客さんをつなぎ止めることが何よりも重要なはずなのですが
このホテルでは低料金化してしまった事により今までの閑静で格式なイメージが一転、若い団体客が押し寄せる事になりました。

当然のことながら、従来のコアユーザーはこのイメージの変化を受け入れることができず、ホテルから足が遠退きます。

「高価格で来てくれるお客様」から「低価格でないと来てくれないお客様」へと入れ替わってしまった訳です。

 

極端な話、シャネルやプラダ、メルセデスベンツやBMWなどの高級ブランドが過剰に値引きして商品を売っていたらどうなるでしょうか?

もちろん飛びついて購入する人はたくさんいると思いますが今まで贔屓にして買っていたお客様は間違いなく去っていくでしょう。

 

良かれと思ってやった値下げがとんでもない結果を招く恐れがあるという事。
たくさんの人が陥りやすい部分なので、是非気をつけて下さい。

 

価格の調査は一番難しい

じゃあ一体、自分の商品/サービスはいくらで売れば適正といえるのか?
商売をしている方なら何度となく悩んだ事があると思いますが、実はマーケティングリサーチの中でも、最適価格を調査するというのは一番難しい!と私は思っています。

なぜなら先程申し上げた通り、価格には『支出の痛み』、『品質のバロメーター』、『プレステージ性』という3つの意味があるので、いくらならお客さんは適正だと思ってくれるか?というのは心理学的にもかなり複雑なんです。

 

やってはいけない適正価格に関するアンケート

しかし、世間一般に行われているアンケートで価格について聴いているものはいくつもあります。

聴き方としてよく見かけるのは、

  • いくらだったら、あなたはこの商品を買いたいと思いますか?
  • この商品の値段は1200円なのですが、これは適正だと思いますか?
  • この商品は現在1万円で販売しています。
    もしこれが2万円だったら、あなたは購入しますか?

 

というものです。

実は私も過去にやったアンケート調査で、価格に関する聞き方を色々試したことがあります。
その結論として、上記のような聴き方は適切ではありません。

というより、この聴き方だと回答者の価格に関する本音は出てこないんですよね。

具体的に説明します。

 

いくらだったら、あなたはこの商品を買いますか?

例1) いくらだったら、あなたはこの商品を買いたいと思いますか?

こう質問してしまうと、調査結果として出てくる適正価格は想像していたものよりもかなり安くなってしまう傾向があります。(但し、どんな商材なのかにもよりますが)

なぜなら、価格には『支出の痛み』という意味があるからですね。

先程価格には『品質のバロメーター』、『プレステージ性』という意味があると説明しましたが、3つの意味のうち、最も強いのは『支出の痛み』です。
(ごく一部の、腐るほどお金を持っているラグジュアリー層は除き)

ですから、いくらだったら買いたいと思うかと質問されたら、ほとんどの人はなるべく『支出の痛み』を押さえようと思ってしまうのです。

しかし、だからと言って、回答した価格の倍の値段で実際に販売されていたらその人は買わないのかと言われるとそうではありません。

例えば私が以前実施したマグカップのマーケティングリサーチで『いくらだったらこのマグカップを購入したいですか?』という質問を100人行ったところ、回答の平均額は300円でした。

しかし現在、そのマグカップは1200円で売っています。しかもそれなりに売れています。

『買いたいと答えた値段』と『実際に買う値段』には大きな乖離があるのです。

 

この商品の値段は1200円なのですが、これは適正ですか?

例2) この商品の値段は1200円なのですが、これは適正だと思いますか?

この質問だと回答者は悩んでしまい、結果としてバラバラな回答が返ってきます。

この質問のダメなところは、『適正』という言葉です。

何をもって適正というのか、回答者はわからないのです。

なるべく『支出の痛み』を伴わずに買えることが適正なのか、『プレステージ性』や『品質のバロメーター』を考慮して価格設定するのが適正なのか。

回答者はわかりませんよね。
そもそも、何をもって適正とするのかは売る側が決める事です。回答者に判断してもらう事ではありません。

この質問だと、回答者を困らせて終わってしまいます。

 

もし2万円だったら、あなたはこれを購入しますか?

例3) この商品は現在1万円で販売しています。もしこれが2万円だったら、あなたは購入しますか?

商品の値上げを検討したい時によく見かける質問です。
売り手側としては、なるべく高い値段で売りたいですものね。

しかしこの質問だと、ほとんどの回答者が『購入しない』と答えてしまいます。

 

これは「アンカリング」という心理が働く為であり、“Aに対してB”という聴き方はアンケートマーケティングではあまり適切ではありません。
人間どうしても、最初に『支出の痛み』を何とかして和らげようと考える為であり、1万円から2万円に価格を変更されるとその痛みが増える訳ですから

とっさに『買わない』という判断になってしまうのです。

 

※アンカリングに関しての詳しい説明はこちらに載っていますのでご覧ください。

⇒”ちょっと知っているだけで利益を10%上げる価格のテクニック”はこちら

 

実際に2万円で販売したとしたら全く売れないかと言われるとそうではないでしょう。

 

例えばディズニーリゾートの1dayパスポート。

2001年頃の値段は5500円でした。
しかし2017年現在は7400円にまで値上がりしています。

 

おそらく2001年当時に、
『1dayパスポートを5500円から7400円に値上げしたら、あなたは来場しますか?』
というアンケートを取ったら、「行かない」と答える人が多かったことでしょう。
しかし実際問題、だからといって入場客数が減っているかというとそうではなさそうですよね。
ディズニーリゾートは今でも絶好調です。

 

ですから人間は「アンカリング」という心理的な影響により、この質問だと値上げ/値下げによる判断を頭の中で正確に行う事はできないのです。

 

アンケートであなたの商品の最適価格を導くには

PSM(Pricing Sensitivity Measurement)とは

価格の調査はマーケティングリサーチの中でも一番難しいと言いましたがその理由をお分かりいただけたでしょうか。

ナンダカンダ言っても、やっぱり人はお金が大事なんです。
だからこそ、価格にはシビアに反応しますし、それを調査するのはかなり苦労します。

しかし、だからといってマーケティングリサーチをやっても価格に関する情報が全く得られないかと言われるとそんなことはありません。

とても便利は手法があります。

それはPSM(Pricing Sensitivity Measurement)という方法でお客様に実際の商品を見せ、アンケートによってお客さんが受容してくれる価格を導き出すという手法です。

これをやると、『大体〇〇円~××円の間で価格設定した方がいい』という感じでおススメの価格帯がわかります。

PSMの調査方法

PSMのやり方は以下の通りです。

  • まず、最適価格を知りたい商品/サービスをアンケートの回答者に見せます。
    (実際には、商品/サービスの内容を『コンセプトボード』で見せます。)例えばあなたがRIZAPで、自社が提供するダイエットプログラムの
    価格を悩んでいる場合、以下のような『コンセプトボード』を作って
    回答者に見せます。


    このように商品/サービスの特徴や差別化ポイントを1枚にまとめたものを
    『コンセプトボード』といいます。これはマーケティングリサーチを行う際によく出てきますので
    覚えておいてくださいね。
  • 回答者にコンセプトボードを見せた後、以下の4つの質問を行います。
  1. この商品について、あなたが『あまりにも安すぎて品質に不安を感じ始める』価格はいくらですか。
  2. この商品について、あなたが『品質に不安はないが安いと感じる』価格はいくらですか。
  3. この商品について、あなたが『買う価値はあるが高いと感じ始める』価格はいくらですか。
  4. この商品について、あなたが『あまりにも高いので買う価値がないと感る』価格はいくらですか。

これらの質問を回答者全員に行います。

 

  • 結果を集計します。
    集計は累積集計で行い、横軸を価格としてグラフにすると以下のような形ができあがります。

 

当たり前ですが、『安すぎて品質に不安がある』、『安いと感じ始める』という人は価格が高くなると共に減っていきます。

一方、『高いと感じ始める』、『高すぎて買う価値がない』という人は価格が高くなると共に増えていきます。

 

そしてこの図に出現する2つのポイントに注目しましょう。

 

  • PMC(Point of Marginal Cheapness):

「安すぎる」と思う人数と「高い」と思う人数が同じになる値段であり、これより安いと『安すぎて品質に不安があり、買うのをためらう』人が多くなる価格

  • PME(Point of Marginal Expensiveness):

「高すぎる」と思う人数と「安い」と思う人数が同じになる値段であり、これより高いと『高すぎて買う価値がないので買わない』人が多くなる価格

ということになります。

従って、このPMCとPMEで挟まれる範囲が許容価格帯という訳です。
(要するにこの範囲内であれば多くの人が「まあいっか」と思ってくれる価格帯)
ということは、この間で価格を決めれば良いのです。

実際にこの方法はトイレタリー(シャンプーなど)や自動車、ウイスキーなどの業界で結構用いられています。

先程のように、適正価格を直接聴いたり、アンカリングのかかった質問をしていないので、信憑性のある価格帯を導き出す事ができるのです。

これは絶対におススメの手法です。
自分の商品の値付けに困っている人は是非アンケートを作って
一度やってみてください。

 

※価格に関する記事は以下もご覧ください。

⇒”お客さんを虜にした、目から鱗が落ちる価格戦略”はこちら

 

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