【Coffee Break】5分で総ざらいするコトラーのマーケティング1.0~4.0

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マーケティングリサーチコンサルタントの渡邉俊です。

ここ最近、『マーケティング4.0』なんて言葉をちらほら聞く事はないでしょうか。

これは『マーケティングの父』と言われているフィリップ・コトラー教授が提唱している新しいマーケティングの概念(コンセプト)です。

実はマーケティングというものにも『トレンド』みたいなものがあり、どうすれば効果的に利益を上げられるかという点が日々変化しています。

従いまして、今日はリサーチの話とはちょっと異なりますが、その基盤となるマーケティングの『トレンド』についてお話します。
コトラー教授が提唱しているマーケティングは、世界のマーケターのバイブルみたいなものです。

今回は自動車業界を例としてあまり難しい言葉を使わずに解説したつもりですので、是非読んで下さい。

 

そもそも『マーケティング』って何?

マーケティングの神様:フィリップ・コトラー

マーケティングのトレンドを説明する前に、そもそも『マーケティング』というイマイチ掴みどころのない言葉の定義を押さえておかないといけません。

その為には『マーケティングの神様』と呼ばれているフィリップ・コトラー教授の事を知る必要があります。

kotler

コトラー先生はアメリカの経営学者であり、セグメンテーションやマーケティング・ミックスといった現代では当たり前になっているマーケティング理論を考案した方です。

この方がいなかったら、『マーケティング』という言葉すらなかったのかもしれません。
そのくらい世界の経営学に影響を与えている人物です。

 

コトラーが言う『マーケティング』とは?

そのコトラー先生が『マーケティングとは何か?』という問いについて、以下のように答えています。

マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突き止め、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択した上で、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。

出典:『コトラーのマーケティング・コンセプト』

うん、難しい!(笑)

簡単に言えば、市場のニーズや欲求を突き止めて、それを解決するような製品を作り収益化するという事になります。
僕の言葉にすると何とも安っぽくなってしまいますけどね(笑)

しかし一番重要なのは『充足されていないニーズや欲求を突き止め』という一文かなと思っています。

なぜなら、特に先進国は様々な製品やサービスが市場に投入されることによって色々なニーズや欲求が日々充足されていっているはずです。
でも人間は欲が満たされると、さらに上位の欲を満たしたくなる動物なんですよね。

だからこそ、『充足されていないニーズや欲求』というものが年々変化する為、マーケティングの方法も変化していっている訳です。

ではこれまでにどのように変化してきたのか?を説明します。
コトラー先生の提唱した『マーケティング1.0~3.0』です。

 

マーケティングコンセプトの変遷(マーケティング1.0~3.0)

マーケティング1.0(製品志向)

1960年代から1970年代の高度成長期。
想像すれば分かるかもしれませんが、昔はどの業界も『需要に対して供給が圧倒的に少なかった』時代でした。
その為、買い手(消費者)よりも売り手(製造者)の方が強かったのです。

企業側が自分達が持つ技術に基づいて商品を開発し、大量生産し、そして売る。
全体的にモノ不足の時代なので、大量生産して需要を賄うというのが経済全体の姿でした。
言い換えれば、顧客の気持ちなんてあまり考えなくても良かった訳です。

コトラーさんは自分の著書の中で、この時代を象徴しているヘンリー・フォードの言葉を紹介しています。

フォードはこう言い放った。
『顧客は好みの色の車を買うことができる。好みの色が黒である限りは』。

出典:「コトラーのマーケティング3.0」朝日新聞出版

今こんなこと言ったら、企業の傲慢として大炎上するでしょうね(笑)
でもこの時代は、それが当たり前だったのです。

ford

ただ、この売り手と買い手のパワーバランスは経済が豊かになっていくと共に変化していきます。

モノが無かった時代からモノが溢れる時代になっていく訳ですから、買い手側もただ売り手に商品を与えられるのではなく、自分が欲しいモノを選ぶようになっていきます。

 

マーケティング2.0(顧客志向)

買い手が欲しいモノを選べる時代ということは、売り手が劣勢に立ったということになります。
この頃からマーケティングも「製品志向」(1.0)から「顧客志向」(2.0)に進化していきます。

日本でいうと1980年代のバブル経済期。
様々な商品が市場に溢れてきた時代。
各企業のマーケティング担当者は、どうしたらライバル商品よりもうちの商品を買ってもらえるのか?という事を考えなければならなくなってしまいました。

自動車業界も、これまではフォードの言葉のように企業側の勝手で商品開発して大量生産すればよかったのですが、

●女の子からキャーキャー言われるようなかっこいいクルマが欲しい!
●家族5人ゆったり座って旅行できるクルマが欲しい!
●大きいクルマは運転しにくいから、小さくて小回りの利くクルマがいい!

などなど、色々な欲求(ニーズ)が生まれてきます。

その為、自動車に限らずどの業界も、どんなニーズを持つ顧客がどの位の規模で存在するのか?、そしてその中からどのニーズを持った人を狙って商品開発するのか?という事を真剣に考えないといけなくなってきました。

それがいわゆるSTPという考え方です。

STPとは、

S:Segmentation(セグメンテーション)・・・市場の細分化
T:Targeting(ターゲティング)・・・狙うべき市場の決定
P:Positioning(ポジショニング)・・・自社の立ち位置の明確化

ですね。

※STPについては以下のブログで詳しく書いておりますので、興味があったら是非読んで下さい。

また「モノ不足」から一転、「モノ余り」になったことにより、消費者には『人と同じである事を避けたい』という気持ちも大きくなってきます。
そして、そういった人たちがどんなモノを欲しがっているのか?を売り手側が先回りして考え、提案する必要が出てきました。
この頃からマーケティングリサーチの重要性が徐々に増してきたわけです。

 

マーケティング3.0(価値主導)

日本でいうと1990年代~2000年代。
この頃は日本もとっくに先進国。各企業も消費者が欲しいモノを研究して次々に市場に投入していきました。
そして消費者にとっての『欲しいモノ』が溢れんばかりに世の中に行き渡っていった訳です。

となると企業は、顧客の更なる高次な欲求に応える必要が出てきます。

つまり、これまでは顧客にとって『数ある商品の中から良い商品を選ぶ』時代だったのですが、『どの商品も良いものばかり』の時代になってしまった為、ただ単に良い商品であるだけでは満足しなくなってしまったのです。

またこの頃、第三次産業革命と言われたあるものが登場します。

『インターネット』

です。
このインターネットの登場で、世の中の人々は情報を自由に取得できるようになりました。

その為世の中の人々は、同じような価値の商品が店先に並んでいたら、社会的に支持できる姿勢の会社の商品を選ぶ時代に転換していきます。
要するに、『このブランドに関わっていると良い事がある』というブランド意識が重視されるようになった訳です。

自動車におけるマーケティング3.0の象徴的な存在がトヨタのハイブリッドカーではないでしょうか。

1997年、トヨタは世界初の量産ハイブリッドカー『プリウス』の販売を開始します。
それまでの自動車は基本的に「エンジン」を動力源として走行していますが、ハイブリッドカーは「エンジン」と「モーター」という2つの動力源を有するクルマです。
これによってガソリン1リッターで走行できる距離が大幅に長くなり(低燃費化)、それまでは『自動車=排ガスを出す環境に悪いモノ』というイメージでしたが、プリウスによって初めて「環境にやさしいクルマ」が世に出たのです。

また当時トヨタは「10年後には販売台数の80%をハイブリッドにする」といったコメントを出しており、これによって増々「トヨタ=環境の事を一番に考えている自動車会社」というイメージを不動のものにし、世界一の売上高を誇る自動車メーカーになっていく訳です。

このようにモノが生き渡った先進国の消費者は社会意識も高くなり、グローバル社会に貢献している会社を支持するようになったのです。

 

マーケティング4.0とこれから

マーケティングとマズローの欲求段階説(自己実現理論)

そして2010年代以降(現代)。

これまで紹介してきたマーケティングの変遷は、『マズローの欲求段階説』で説明すると理解しやすいと言われています。
マズローはアメリカの心理学者で、人間が持つ欲求を5段階で説明した理論です。

5. 生理的欲求(睡眠欲・食欲・性欲などの人間が持つ本能的な欲求)
4. 安全欲求(安心、安全な生活に対する欲求)
3. 社会的欲求(所属したい、仲間が欲しいという欲求)
2. 承認・尊厳欲求(価値ある存在と認められたい、尊敬されたい欲求)
1. 自己実現欲求(ありたい自分になる、あるべき自分でいる)

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要するに人間は、生理的欲求が満たされるようになったら安全欲求を求め、それが満たされるようになったら社会的欲求、承認・尊厳欲求、自己実現欲求と言う風に上位の欲求を満たしていき、自己実現に向かって絶えず成長するという理論です。

 

マーケティング4.0は自己実現

コトラーさんはマーケティング4.0を『自己実現のマーケティング』と言っています。

モノや情報が溢れるようになった先進国では、既に多くの方が生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認・尊厳欲求を満たせるようになりました。
その為、今後は最上位の『自己実現:自分の好きな事だけを追求する』の欲求を満足させる必要があるというのです。

今後、人工知能(AI)が発達すると、これまで人間がやっていた作業や判断は全てAIがやってくれるようになります。

そうなれば、人は『自分が本当にしたいことは何なのか?』を強く意識するようになります。

人々が理想として持っているその価値観とブランドが持つ価値観がぴったり合えば、そのブランドは伸びていくはずです。

 

まとめ:マーケティングが変化してもリサーチは大事

このようにマーケティングのコンセプト(概要)は年を追うごとに変化しています。
おそらく4.0のあとも5.0、6.0・・・と変遷していくのでしょうね。

でも理解していただきたいのは、ビジネスというものが『売り手と買い手(顧客)の間の取引』である以上は『顧客が充足していないニーズや欲求』を突き止める事の大切さは今後も変わらないはずです。
ですから、顧客をリサーチする事の大切さも変わらないでしょうね。

そこを踏まえた上で、是非今後もこのサイトでリサーチを学んでいただければと思います(笑)

 

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