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マーケティングリサーチは役に立たない!?~スティーブ・ジョブズの誤解~

  1. 1.マーケティング一般知識

最終更新日: 2020年6月30日 by 渡邉 俊

マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。

突然ですが、私が尊敬するスティーブ・ジョブズは大のマーケティングリサーチ嫌いだった事で有名です。

ただ今日は敢えて、天国にいるスティーブ・ジョブズに反論したいと思います。

これはジョブズだけでなく、同じような誤解を持っている方は世の中にたくさんいらっしゃると思いますので
マーケティングリサーチで飯を食べている私としてはその誤解を晴らすことができれば幸いです。

 

スティーブ・ジョブズはマーケティングリサーチが嫌い

生前、ジョブズは以下のような言葉を残しています。

 

Some people say, ‘Give the customers what they want.’ But that’s not my approach.

Our job is to figure out what they’re going to want before they do.

I think Henry Ford once said, ‘if I’d asked customers what they wanted, they would have told me, ‘A faster horse!’’ People don’t know what they want until you show it to them. That’s why I never rely on market research. Our task is to read things that are not yet on the page.

「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。

だが、私の考えは違う。

顧客が今後、何を望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが我々の仕事なんだ。

ヘンリー・フォードも似たようなことを言ったらしい。

「なにが欲しいかと顧客に尋ねていたら、『足が速い馬』といわれたはずだ」って。

人々はみんな、実際に”それ”を見るまで、”それ”が欲しいかなんてわからないものなんだ。

だから私は、市場調査に頼らない。

私達の仕事は、歴史のページにまだ書かれていないことを読み取ることなんだ。

 

要するに、
20年前お客さんに「どんな電話が欲しい?」と質問してもi-phoneのような商品を提案する人はいないだろうし、

「どんな音楽プレイヤーが欲しい?」と聴いてもi-podのような商品を思い浮かべる人はいなかった。

だから、マーケティングリサーチでお客さんに「何が欲しいか?」なんて聴いても無駄だという話です。

私はスティーブ・ジョブズに会ったことはもちろんありませんが、何ともジョブズらしい言葉ですね。

商品アイデアを考えるのはお客さんの仕事ではない

これについてマーケティングリサーチの仕事をしている私の意見を述べさせていただきます。

ジョブズの言っている事はまさにおっしゃる通りです。

私は全く否定しません。

 

お客さんに直接「何が欲しいか」を聴いたって、参考になるような意見が出る事はないと思います。

私も15年間、自動車業界に身を置いていましたが、おそらく世間のお客さんに「どんなクルマが欲しいか?」と
リサーチの中で聴いたとしても、

「空飛ぶクルマ!」

みたいな現実的でない回答が出てくるだけだったでしょう。

当然の事ですが、商品のアイデアを考えるのはお客さんではなく、商品を提供する側の仕事です。

 

次にどんな自動車を作ればいいのかを考えるのは自動車メーカーの仕事。

次にどんなチョコレートを作ればいいのかを考えるのはお菓子メーカーの仕事。

次にどんな生命保険商品を作ればいいのかを考えるのか保険会社の仕事。

次にどんなコンサル商品を作ればいいのかを考えるのはコンサルタントの仕事。

 

理由は簡単です。

お客さんは日頃から自動車やチョコレート、生命保険、コンサル商品の事を考えて生きていません。

皆さんそれぞれ、自分の人生を歩んでいます。

ですから、そんな人たちに商品アイデアを考えさせるのは酷な話ですし、
何しろ世間の人に商品アイデアを考えてもらうこと自体、
商品を提供する側の怠慢だと思うのです。

マーケティングリサーチを使ってお客さんにアイデアを考えてもらうこと自体が間違いなんですよね。

まさにジョブズが言っている通りです。

もちろんお客さんから商品アイデアの『ヒント』をもらうのは構わないと思いますが、そのヒントを基にアイデアを熟成させるのはお客さんではなく作り手の仕事のはずです。

※参考になるブログを掲載します。こちらも是非読んでみて下さい。

 

商品企画と市場調査

 

しかし、ジョブズが言っている

That’s why I never rely on market research.だから私は、市場調査に頼らない。』

というのは、私は間違っていると思います。

市場調査に頼るか頼らないかはその人次第だと思いますが、市場調査が商品の企画に全く役立たないかと言われるとそんなことはありません。

むしろ積極的に活用すべきと思います。

なぜなら、商品企画という分野において市場調査は
『お客様から商品アイデアを出してもらう』為の手段ではなく、
『作り手が考えた商品アイデアの受容性を評価する』為の手段として活用する為にあるからです。

要するに、作り手がA、B、Cという3つの商品企画アイデアを出したとしたら

3つのうち、お客様どれが買うか?
お客様が最も買いたい商品の、その買いたい理由は何か?
お客様が最も買いたくない商品の、その買いたくない理由は何か?

という検証の為にマーケティングリサーチを行う事が重要なのです。

 

実際に商品企画が固まったら、試作品やコンセプトボード(※商品コンセプトを1枚の紙に記したもの)をリサーチにかけ、その受容性や改善すべきポイントを調査している会社はたくさんあります。

そうやってある程度売り上げが見込める事を確認した上で発売するかしないかを判断するのです。

まあ確かに、i-phoneなど革新性に富んでいるApple商品は、マーケティングリサーチなんてやらなくても売れると確信できるかもしれませんね。

そういう意味では、ジョブズはマーケティングリサーチに頼る必要もない天才なのだと思います。

ちなみに、コンセプトボードを使った商品アイデアの受容性調査については以下のコラムでもお話ししています。
是非ご覧ください。

 

ジョブズがリサーチなんて信用できないと言っていたからといって『うちの会社もやらない!』と判断するのはやめた方がいいと思います。

ジョブズが世に出した商品と肩を並べるくらい革新性に富んでいる商品だと自信があるなら話は別ですが、そうでなければ、マーケティングリサーチの力を是非借りていただければと思います(笑)

 

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最終更新日: 2020年6月30日 by 渡邉 俊


【第30回】商品やサービスの価格設定は誰しも悩むところですが、だからといって思い付きでやってはいけません。大企業や有名ブランドは消費者心理学に基づいた価格設定を当たり前のようにやっています。その中の基本的なモノを4つ紹介します。

◆渡邉 俊のプロフィール
1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
『上毛かるたはカタル』 (2023年12月)

◆Webサイト
https://lactivator.net/

◆動画で紹介した『PSM(許容価格帯分析)』の解説はこちら↓
https://youtu.be/LPvZAGkno84

◆お仕事の依頼はこちらから↓
https://lactivator.net/request_from_corporation/

【第30回】商品やサービスの価格設定は誰しも悩むところですが、だからといって思い付きでやってはいけません。大企業や有名ブランドは消費者心理学に基づいた価格設定を当たり前のようにやっています。その中の基本的なモノを4つ紹介します。

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1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

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『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
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◆渡邉 俊のプロフィール
1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
『上毛かるたはカタル』 (2023年12月)

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◆動画で紹介した『リサーチモニターパネル』の解説はこちら↓
https://youtu.be/WpCbGJ6VrFE

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1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
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◆渡邉 俊のプロフィール
1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
『上毛かるたはカタル』 (2023年12月)

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広告のクリエイターは、お客さんに"欲しい!"と思わせる為に様々な仕掛けを広告に織り込みます。いわゆる『消費者心理学』に基づいた仕掛けですが、その中でも重要な6つのカラクリを紹介します。

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2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
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◆著書
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