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『平均』とは~これだけは押さえたいマーケティング統計の基礎知識~

  1. 5.マーケティング統計学の一般知識

最終更新日: 2020年1月18日 by 渡邉 俊

マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。

マーケティングリサーチの結果を分析した時、多くの人が「平均値」を分析結果として計算すると思います。

しかし、ちょっと待って下さい。
その「平均」は本当に皆さんが算出すべき値でしょうか?

これはマーケティングリサーチを行う多くの方が陥りがちな落とし穴なのですが、「平均値」という数値は扱い方によって間違った方向に事を進めてしまう可能性があります。

今回はこの「平均値」について、皆さんに正しい知識を身に付けてもらえればと思っています。

 

誤解を生みやすい「平均」という数値

まずは「平均値」の基本的な概念から話をしたいと思います。
「平均なんて小学生の時習ったよ!」と思われるかもしれませんが、少しだけお付き合い下さい。

ここに、あるアンケートで集計したデータ「商品を購入したお客様の年齢層」があります。

例) 「商品を購入したお客様の年齢層」
10代・・・5人
20代・・・3人
30代・・・7人
40代・・・12人
50代・・・15人
60代・・・20人
70代・・・31人

このデータからお客様の年齢層を計算すると、平均値は52.9歳です。
その為、この平均値だけを見てしまうと「商品の購買層は50代がメイン」と結論を出してしまいがちなのですが、実はここに大きな落とし穴があるのです。

 

先程の集計結果をもう一度見てみて下さい。

例) 「商品を購入したお客様の年齢層」
10代・・・5人
20代・・・3人
30代・・・7人
40代・・・12人
50代・・・15人
60代・・・20人
70代・・・31人

よく見ると、平均値として導き出された50代はたった15人、集計結果で最も人数が多いのは70代の31人です。
つまり、実際に最も多く商品を購入しているのは70代という事になり、分析結果の「平均は52.9歳」と大きくかけ離れている事になります。

 

ここが「平均」の落とし穴です。

 

アンケートで集計結果を分析する場合、「平均」を導き出すのは確かに有効なのですが、「平均」は集計したデータに偏ったバラつきがあった場合に実態とかけ離れた計算結果を導き出す恐れがあるのです。

マーケティングリサーチの手法としてアンケートを実施したいと考える方の中で、特にリサーチに慣れていない方が陥りやすいのが、この「平均」の落とし穴なのです。

 

「平均」とは一味違う。「中央値」と「最頻値」という数字

さて、先ほどの例だと、商品の購買層は計算上「平均52.9歳」ですが、実際に最も多く商品を購入しているのは70代という、分析結果と実態のかい離が生じてしまいました。

この場合、経営者はアンケートの集計結果をどう活かせば良いのでしょう?

そのヒントが「中央値」「最頻値」にあります。

「中央値?最頻値?」と首をかしげた皆さん、ご安心下さい。
これから分かりやすく御説明します。

 

中央値とは?

まず「中央値」ですが、これは文字通り「集計結果の中央に位置する数値」を表します。
先程の例では10代から70代まで合計で93人分のデータが集まっています。
この93人分のデータを10代から70代まで整列して並べた時に、ちょうど中央にくる数値が「中央値」です。

実際に先程の93人分のデータを整列させると、ちょうど47番目にある数値が「中央値」となります。
10代から70代までを並べた時の47番目にくる数値は60代なので、このアンケートの集計結果における「中央値」は60代という事になります。

 

先程の「平均52.9歳」と最大の購買層である70代の中間の数値になりましたね。
単純に「平均」を計算するよりも分析結果が実態に近づいたような気がします。

 

最頻値とは?

では、次に「最頻値」について御説明しましょう。
「最頻値」とは、文字通り「最も頻度の多い数値」を表します。

先程の例でいうと、集計した93人のうち31人と最も人数の多い70代が「最頻値」となります。

このように、アンケートの集計結果を分析する時に「平均」だけでなく「中央値」と「最頻値」も計算しておくと、様々なケースの数値の分布に対して臨機応変に対応する事が出来るのです。

 

集計結果を読み間違うとビジネスチャンスを逃す!

今回、「商品を購入したお客様の年齢層」という例を通じて「平均」「中央値」「最頻値」について簡単にではありますが御説明しました。

この例では「最頻値」の70代が最も商品を購入した購買層を表していて、「平均」の52.9歳や「中央値」の60代と比較したり仮説を立てたりする事で、今後のビジネスの戦略を立てるヒントにする事が出来そうです。

「最頻値」の70代の購買層をビジネスのメインターゲットにして戦略を立てる事も出来ますし、「中央値」の60代も購買層の予備軍として検討する価値があるかもしれません。

 

いずれにしても、単純に「平均」の52.9歳にだけ注目をしていたら、最も多い購買層の70代や予備軍の60代に対してのビジネスチャンスを逃していたかもしれません。

 

勿論、「平均」が最適な分析結果となるケースもありますし、「中央値」が最も有効なデータとなるケースもあるので、「平均」「中央値」「最頻値」のどれが正しいという訳ではありません。
正直、どういったケースでは「平均」を使い、どういったケースで「中央値」、「最頻値」を使えば良いと言い切るのはとても難しいです。

 

しかし、皆さんに知っておいて頂きたいのは、単純に「平均」だけを計算してビジネスを進める事の危険性です。
「平均」だけに注目して間違った分析結果を元に商売の戦略を立てれば、おそらく大きな失敗となって返ってくるでしょう。

 

「平均」というのは誰でも簡単に計算して導き出せる数字ですが、簡単に計算できるが故の落とし穴もあるという事を覚えておいて欲しいです。

 

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最終更新日: 2020年1月18日 by 渡邉 俊


【第30回】商品やサービスの価格設定は誰しも悩むところですが、だからといって思い付きでやってはいけません。大企業や有名ブランドは消費者心理学に基づいた価格設定を当たり前のようにやっています。その中の基本的なモノを4つ紹介します。

◆渡邉 俊のプロフィール
1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
『上毛かるたはカタル』 (2023年12月)

◆Webサイト
https://lactivator.net/

◆動画で紹介した『PSM(許容価格帯分析)』の解説はこちら↓
https://youtu.be/LPvZAGkno84

◆お仕事の依頼はこちらから↓
https://lactivator.net/request_from_corporation/

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1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
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◆動画で紹介した『リサーチモニターパネル』の解説はこちら↓
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◆渡邉 俊のプロフィール
1977年1月、群馬県生まれ。マーケティングリサーチ事務所 Lactivator 代表 / 一般社団法人KING OF JMK代表理事。
2001年に自動車メーカーに入社して、15年間マーケティングリサーチや商品の品質保証を担当。その後2016年に独立してマーケティングリサーチの専門事務所を設立。
現在はランドセルメーカーや資格学校、地方自治体など幅広い分野でクライアントを抱え、マーケティングリサーチ業務を行っているこの道20年以上のベテランリサーチャー。

また上記以外にも故郷:群馬県の地方創生の為に、『上毛かるた』の全国大会である『KING OF JMK~おとな達の上毛かるた世界一決定戦~』を開催。培ってきたマーケティングにノウハウを地方創生に活用する活動を展開している。NHK、新聞、雑誌、メディア取材多数。

◆著書
『アンケートは仕込みが全て』 (2025年2月)
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