価格0円で誰でもできる『エスノグラフィー』調査のポイントを一挙説明!

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こんにちは!
マーケティングリサーチアドバイザーの渡邉俊です。

このブログではこれまで、アンケートやインタビューなどのマーケティングリサーチの手法を紹介してきました。
これらはいわゆる調査対象者に『聴く』ことによってビジネスのヒントを得る方法ですが、今回はちょっと違った方法を紹介します。

それは『エスノグラフィー』と呼ばれる、調査対象者を『見る(観察する)』方法です。

要するに、自分のお客様、またはお客様になり得る人の行動をじっと観察する訳です。
そして、『なぜこの人はこういう行動をするのか?』という気付きを得る事から、様々な戦略に発展させることができます。

今日はその話をさせていただきます。

 

エスノグラフィーとは何?

行動を観察して何かを得る

もともとエスノグラフィー(Ethnography)は文化人類学などの分野で行われてきた、民族の生活を研究する手法の一つでした。
対象となる民族の集落に入って行動を観察したり、時には一緒に生活を共にしたりして、その民族の行動を研究する手法です。

それがマーケティングにも応用されるようになり、「対象となる消費者の行動現場を観察」して何かしらの知見を得る手法をリサーチ業界ではエスノグラフィーと呼んでいるのです。

分類としては定性調査(質的調査)の手法の1つです。

無意識の行動にこそ答えがある!

エスノグラフィーを行う最大のメリットは、『その人が無意識でやっている行動』を捉える事ができるという点です。
この『無意識』の行動というのが、ビジネスをやる上で超重要なヒントになります。

僕はこれまでに自分のブログの中で、『回答者の本音を得られるようなアンケートやインタビューを設計しましょう』と何度も書いてきました。
これは得られた本音のデータから、その回答者のが心の奥底(無意識の領域の中)で何を考えているのかを探っていく為です。

だからこそ、そのデータが本音でないと意味がない訳ですね。

しかし、アンケートもインタビューも実は少し弱点があります。
それは回答者が『意識』をして答えてしまうという点です。

実はマーケティングリサーチでは、回答者の『意識』というのは本当ならば排除したい部分なのです。

あなたはなぜ『コメダ珈琲』に行くの?

私の家の近くに2つのカフェがあります。
コメダ珈琲とスターバックスコーヒーです。

私自身も原稿を書く時とか、ちょっと気分転換したい時にはどちらかに行ってコーヒーを飲んでいます。
ですが、近所に住む知人に聴くと『俺はコメダにしか行かない!』という人もいます。

おそらく、この人に『なんでコメダには行くけどスタバには行かないの?』と普通にインタビューやアンケートを聴いても、

『コメダのコーヒーの方がうまいから』
『コメダは食事もできるから』
『コメダの方が静かだから』

なんて答えが返ってくるでしょう。

場合によっては、

『いや、ただ何となくコメダが好きだから・・・』

と明確な答えが出てこないことも考えられます。

人間は質問に対して答える際、

  • きちんと答えなければ!
  • 変な人間だと思われるような回答をしたくない!
  • 答えるのが面倒くさい!

という変な意識が働いてしまいます。
これはアンケートやインタビューなどの『聴く』調査(Ask系の調査)の欠点なのです。
その為、過剰な意識を極力排除するような工夫を調査設計の中で行い、本音を取り出すという作業が必要です。

しかし、エスノグラフィーは対象者の無意識での行動を観察する訳ですから、ダイレクトに無意識の部分にアクセスできる訳です。

エスノグラフィー実施事例

事例①:夫休憩室 (上海)

例えば上海にあるショッピングモールに2017年に設置された『夫休憩室』というものがあります。

※ご参考に夫休憩室の記事をご覧ください。
http://japanese.china.org.cn/life/2017-07/14/content_41215910.htm

これはこのショッピングモールの職員が売り場を観察していた際、多くの男性がソファに座り込んでいるのを見たことがきっかけで発案されました。

ショッピングモールは『家族で買い物を楽しむ』というコンセプトの基に店舗作りを行ってきましたが、買い物に対する女性の楽しみ方と男性の楽しみ方は違います。

女性のように特別な目的もなくぶらぶらとモール内を歩き回るというのは多くの男性には向かないのです。
私もとても共感できます(笑)

そこで女性が買い物を楽しんでいる間、男性にも楽しんでもらう為に設置したのが『夫休憩室』です。

休憩室の中ではビジネスクラスのような快適なソファに加えて大画面のテレビやゲームがあり、思う存分くつろげるスペースとなっています。

これによって女性も男性のイライラを気にせず買い物ができるので、男女双方にメリットが生まれます。

この件、アンケートやインタビューで対策に繋げるのはちょっと難しかったと思います。
もちろん、『うちの妻は買い物が長い!』とか『僕はもう飽きているのに彼女の買い物が終わらないんだ・・・』などの不満を持つ男性は多いです。

しかしこれらは『連れている女性』への不満であり、お店への不満として回答する可能性は低いはずです。

また仮にそのような不満が出たとしても、『それはお客様の問題』としてしまい店舗への対策に織り込もうとは思いにくいですよね。

従いまして、『夫休憩室』はまさにモールの店員がお客様の行動を観察したことによって出たアイデアなのです。

 

事例②:EhonNavi

EhonNavi(絵本ナビ)は絵本専門のショッピングサイトです。

EhonNavi

※ご参考にサイトはこちらです。
https://www.ehonnavi.net/

EhonNaviは全国で初めて『サイト上で絵本全ページ試し読み可能』にした会社です。

実は『絵本』は他の書籍と違い、購入する際に全ページ読める状態でないと買ってくれません。
それは、絵本と他の書籍ではお客様の購買行動が全く異なるからです。

小説やビジネス書の場合、興味のある本をネット上で見つけたら最初の数ページを画面で確認して購入ボタンを押します。

しかし絵本の場合はパパやママが自分の子供に買う訳ですから、全部読んでみて子供に読ませたい内容かどうかを判断しなければなりません。
大人であれば絵本なんて4~5分あれば全部読めてしまいますからね。

EhonNaviが誕生する前、大手ネットショッピングサイトでの本の売上冊数は既に書店での売上冊数を上回っていましたが、絵本に関してはまだまだ書店での売り上げが多い時代でした。

『なぜ絵本は書店で売れるのにネットで売れないのか?』と疑問に思ったEhonNaviの創業者は、ママが本屋で絵本を購入する時の様子をじっと観察しました。
その結果、上記の様なママ達の購買行動を発見し、全ページ試し読み可能な絵本の販売サイトが誕生したのです。

 

エスノグラフィー実施のやり方とポイント

上記のようにエスノグラフィーは対象者の行動をじっと観察する調査であり、費用もほとんどかかりません。
観察できる場さえあれば誰にでもできます。
従いまして、何か観察したい事がありましたら積極的に実施する事をおススメします。

但し、実際にエスノグラフィーをやって成果を得る為にはいくつかポイントがあります。

 

ポイント①:とにかくまずは現場に赴く!

行動観察とは言えこれもマーケティングリサーチ手法の1つですから、『きちんと調査設計してからエスノグラフィーを行うべき!』と仰るリサーチの先生もいらっしゃいます。
ただ、私としてはお客様の行動が見られる状況にあり、見てみたいと思ったらすぐに『現場に行ってみる』ことをおすすめします。

『現場で現物を見て現実的に判断する』といういわゆる“三現主義”ですね。

お客様の行動が見られる状況にあるというのはマーケティングにおいて非常にありがたい状況と言えます。
実際、Web上でビジネスを行っている場合は、お店のWebサイト画面の向こうでお客様が何を思ってどんな行動をしているのかがわかりません。

その為、行動観察ができる状況ならばそれをフルに活用するのがベストなのです。

 

ポイント②:行動観察でも仮説は大事!

最初は、ボーッとお客様の行動を眺めてみるで良いと思います。
しかししばらく観察していると、「あれ、この人たちはなぜこんなことをするのだろう?」、「今、一瞬やった行動はこの人にとって何の意味があるのだろうか?」などいくつか疑問が出てくるはずです。

その不思議に思ったお客様の行動をメモに書き留めておいてください。

そして、一通り観察できたら次に、なぜお客様はそのような行動をしたのかについて『仮説』を立ててみましょう。
「もしかしたらこの人たちはこんなことを思って行動しているのかもしれない」という仮説です。

先程の絵本の事例であれば、ある時ビジネス書籍コーナーにいるお客さんに比べて絵本コーナーにいるお客さんの方が滞在時間の長く、絵本を最初から最後まで読み通していることに気づくはずです。

そこから、『なぜ絵本コーナーのお客さんは、最初から最後まで読み通しているのだろうか?』という疑問が生まれ、『もしかしたら最初から最後までチェックしないと購入に至らないのかもしれない』という仮説が生まれるはずです。

※仮説は調査を行う上で非常に大事です。ご参考に以下をご覧ください。

ポイント③:アンケートやインタビューで結論付ける

このように行動観察によって様々な仮説を立てることができます。
しかし、それをエスノグラフィーによって『検証』する事は難しいです。

要するに、その仮説は全ての(もしくは一定数の)お客様に当てはまる事なのかどうかという事です。

その為、得た仮説は必ずアンケート調査やインタビュー調査で確かめてみるのが良いです。

このようにエスノグラフィーは調査の仮説を作る時に非常に有効です。
何度も言いますが、『無意識の行動』を観察して得たものですから、かなり有力な仮説であると考えてよいと思います。

 

ポイント④:対象者を無意識状態に保つ

上記の夫休憩室や絵本の事例は店舗の中でお客様がどのような行動をしているのかを観察したものです。
これ以外にも、特定の商品がどう使われているのかをチェックする為に、その商品ユーザーの家にお邪魔して実際に使用方法を観察させてもらっても良いです。

例えば新しい洗濯機を開発する場合、現状の洗濯機から何を改良をすれば良いかのヒントを得る為、お客様の家に伺って洗濯機の使用シーンを見せてもらうなんて事をやります。

この時に気を付けなければならないのは、

●あまりたくさんの人数で訪問しない (1~2名がベスト。多くても3名)
●普段通りの行動をしてもらう事を心掛ける
●質問などは行動が終わってからにする(行動を途中で止めない)

の3点です。

先程も申し上げた通り、エスノグラフィーは『無意識での行動』を観察する調査なので、対象者が普段通りの行動ができる環境を保つことが重要です。

 

まとめ

エスノグラフィー(行動観察)というのは特に目新しい手法ではなく、昔から個人商店などではやっていたことです。

●魚屋さんが魚を売る時に、『味付けは塩だけで十分だからね!』みたいにちょっとした調理の仕方をアドバイスをする。
●衣料品屋さんに服を買いに来た時、いきなり『今日は何をお探しですか?』と声をかけるのではなく少し間を空ける。

など、お店を経営している方はお客様を観察してどのように接客するのがベストなのかを日々考えてきました。

特にこれと言った方法論はありません。
お客様を目で見て、何を思っているのかを感じ取るのが重要です。

※エスノグラフィーについては参考にこちらもご覧ください。

 

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著者プロフィール

渡邉 俊
●Lactivator代表
(マーケティングリサーチアドバイザー)
●一般社団法人KING OF JMK 代表理事
●日本マーケティング・リサーチ協会賛助会員

 

1977年群馬県生まれ。横浜市在住。
2001年に日産自動車(株)に入社。
以降、マーケティングリサーチ業務に従事。

2012年、地方の過疎化に自分のマーケティングノウハウで貢献したいと考え、
会社員のまま『Lactivator』を設立。
2015年より中小企業や個人事業主の方へのマーケティング支援も実施。

また故郷:群馬の活性化活動も独自で行っており、
2013年2月、群馬が誇る「上毛かるた」を使って県をPRするイベント
「KING OF JMK~おとな達の上毛かるた日本一決定戦~」を開催。
その後も毎年開催しており、キャンセル待ちが出る人気となっている。

更に群馬の観光活性化を目的としたスマホアプリ『札ッシュ!!上毛かるたGO!』を企画。
(株)クライム様が開発のもと、2017年5月リリース。

2013年:週末起業フォーラムより『第7回週末起業家賞』を受賞。
2016年3月に日産自動車を退社、独立。

◆講演実績◆
枚方市地域活性化支援センター
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ぐんま観光リーダー塾
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