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マーケティングにおける必須学問『行動経済学』のススメ

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こんにちは!
マーケティングリサーチコンサルタントの渡邉俊です。

今日のテーマは『行動経済学』です。

近年、2002年と 2017年に『行動経済学』の分野の研究者がノーベル経済学賞を受賞しています。
ただ日本人の受賞ではないので、あまり日本では話題になっていない?ような気がするのですが、この学問はマーケティングを語る上で非常に重要な位置を占めます。

そこで今回はこの「行動経済学とは何なのか」について、できるだけ分かりやすく解説します。

もちろん、行動経済学の中身全てを書くことは不可能ですので、あくまで導入編として読んでください。

 

『経済学』の基本知識

そもそも『経済学』とは何か

そもそも『経済学』という学問自体にあまり馴染みのない人も多いと思います。

経済学とは、

「世の中にある限られた資源をいかに有効に活用していくかを研究することにより、人々がどうすれば幸せな生活を送ることができるようになるか」

出典) DIAMOND online
5分でわかる!ノーベル賞受賞の「行動経済学」とは人を幸せにする学問だ

を追求する学問です。

資源と言うと石油とか石炭などの天然資源を思い浮かべる人も多いと思いますが、ここではそうではありません。
世の中には無限に存在するものなどなく、全てのものが”限られた資源”です。
そして、人間の経済活動の中で特に重要なのが「時間」とか「お金」という資源です。

従いまして経済学というのは、この時間とお金をどう取り扱うべきか?というのが基本テーマになります。

『人間は合理的、個人主義的』という従来の考え方

そして経済を研究するのに大切なのが「モデル」という考え方です。
これは「人間はこういう原理原則に基づいて経済活動をする」という人間の模型みたいなものですね。

このモデルをベースにして経済学は研究されます。
経済活動という難しい言葉を使っていますが、要はモノやサービスを売ったり買ったりすることを総称して「経済活動」と言います。

そして従来の経済学には「経済人」という概念がありました。
経済人というのは『経済的合理性のみに基づいて個人主義的に行動する』ことを想定した人間像のことを言います。

・・・またまた難しい言葉を使ってしまいましたが、要するに、
『人間とは自分の利益のみを考えて、その利益が最大化するように常に合理的な行動を取る存在だ』
という前提で従来の経済学は研究されていました。

随分と意地汚い人間のように感じられるかもしれません(笑)

でも例えば、今晩の夕食でカレーを作る為に近所のスーパーへニンジンを行った時のことを考えてみて下さい。
ご家庭の懐事情を考えれば、誰しも『なるべく安くて美味しいニンジンが欲しい!』と思いますよね。
これは立派な『利益が最大化するような合理的行動』な訳です。
支出を極力少なくして、利益の最大化(なるべく美味しいニンジン)を狙っているのですから。

 

『行動経済学』が誕生した背景

人間が常に合理的ならギャンブルもボランティアも成立しない

しかし上記のような考え方で経済を見ると、色々と説明できない事柄が多数あります。

その典型的事例が「ギャンブル」です。
人間が常に合理的な行動を行っているのであれば、当たる確率が極めて低い宝くじや競馬、パチンコなどのギャンブルに手を出すはずがありません。

それ以外にも、
・なぜ日本人は正月に中身の確認できない「福袋」を行列を作ってまで買うのか?
・なぜ震災が起きた時にボランティア(無償)で被災地支援をするのか?
・なぜ銀行に行かずに、手数料のかかるコンビニでお金をおろすのか?

などもその事例です。

つまり、人間は必ずしも常に合理的な行動をするとは限らないのです。
人間の全ての行動が合理的ならばギャンブルや福袋というビジネスは成立しませんし、被災地のボランティアにだって行きません。

『人間は必ずしも常に合理的ではない』という考え方

従いまして『行動経済学』というのは従来の経済学の殻を破り、「人間は必ずしも合理的な行動をしない」ことを前提に経済を研究する学問です。

もちろん昔の経済学者も、人間は常に合理的に行動すると思っていませんでした。
しかし経済現象を数値的、理論的に解明するには、「人間は常に合理的に行動する」というモデルを大前提とする必要があったのです。
人間の心理状況によって判断が変わるなんてことになると、途方もないくらい複雑な数式や変数が必要になるからです。

なぜマーケティングに行動経済学が必要か?

ここまで読んでいただければ、なぜマーケティングに行動経済学が必須なのかが分かると思います。

以前も申し上げましたが、ドラッカーはマーケティングを『販売(Sales)を不要にすること』だと定義しています。
そしてその為には『顧客を研究せよ』とも言っています。

その為、『お客様がどのような思考や心理に基づいてモノを買うのか?』を理解する為には行動経済学の知識が絶対に必要な訳です。

普段忙しい方も、これを機に是非勉強してみて下さい。

※ちなみにですが宣伝です。
Lactivatorでは『卓上コンサル』という月々定額の個人向けコンサルサービスを行っていますが、この中で『1日30秒、365日のマーケティングの大学』というメール講座を毎朝配信しています。
これを1日30秒読んでもらえれば、マーケティングについてかなりの知識を得る事ができます。もちろん行動経済学の話もたくさん書いてます。

是非この機会に登録してみて下さい。

プロスペクト理論

では次に、このブログでは行動経済学の中でもその代名詞と言える『プロスペクト理論』について紹介したいと思います。

この理論は1979年に米国のダニエル・カールマンとエイモス・トベルスキーという2人の心理学者によって発表されました。またこの功績からダニエル・カールマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。

非常に奥が深い理論ですので、是非覚えて下さい。

人間は損することを極端に嫌う

一言で表すとプロスペクト理論とは「人間は損することを極端に嫌う」という事になります。

従来の経済学で、人間は常に合理的に行動すると想定していましたが、損得が絡む時に人間は非合理な行動を取るのです。
これがプロスペクト理論の本質となります。

具体的に、カーネマンが行った実験は以下のようなものです。

【質問1】以下の2つの選択肢が提示されたらあなたはどちらを選択するか。

A:無条件で100万円もらえる。
B:コインを投げ、表が出たら200万円もらえるが、裏が出たら10万円しかもらえない。

【質問2】現在あなたは200万円の借金を抱えている。その時、以下の2つの選択肢が提示されたらどちらを選択するか。

A:無条件で借金が100万円減額され、借金の総額が100万円となる。
B:コインを投げ、表が出たら全額免除されるが、裏が出たら借金は10万円しか減額されない。

皆さんだったらどちらを選びますか?

期待値の計算

実験結果を発表する前に、『期待値』という統計学の言葉を説明する必要があります。

期待値とは確率の見地から算定した平均値の事を指します。

例えば【質問1】の場合、

Aは何もしなくても100万円もらえますので、期待値は100万円です。
但しBは200万円もらえる確率が50%、0円である確率が50%なので、

(200万円 × 0.5) + (10万円 × 0.5) = 105万円 

です。

従いまして、確率的にAよりもBの方が+5万円期待できるという事になります。

 

また【質問2】の場合、

Aは何もしなくても借金が100万円減額されるので、期待値は-100万円です。
但しBは200万円減額の確率が50%、0円減額である確率が50%なので

(-200万円 × 0.5) + (-10万円 × 0.5) = -105万円 

です。

従いましてこれも期待値としては、確率的にAよりもBの方が-5万円期待できるという事になります。

 

人が感じる価値の大きさは金額に比例しない

人間が常に合理的に行動するのであれば、必ず期待値の大きい方を選択するはずです。
しかし先程も申し上げた通り、人間は常に合理的に行動するとは限らないのですね。

実験結果によると、

● 質問1では堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多い。
●質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶ人の方が圧倒的に多い。

という事が実証されています。

この結果が意味する事は何か?

上記の実験で、人間は利益が得られる場合は堅実性の高い方を選択し、損失を回復させる為にはギャンブル性の高い方を選択することを証明しました。

要するにこれは人間は損失を回避する傾向にある事に他なりません。

もっと言えば、

『人が感じる価値(主観的な価値)の大きさは金額(客観的な価値)に比例しない』

という事になります。
ここでいう客観的な価値というのは期待値のことを言います。

プロスペクト理論をマーケティングに活用する

この理論を利用したマーケティングは既に色々なところで行われています。
人間は損失する事を極端に嫌うので、その心理を利用する訳です。

ここでは2つほど紹介します。

①期間限定割引

どの業界でも行われているのではないかと思いますが、

『〇月〇日までにお申し込みいただいた方には10%割引!』

なんてフレーズです。

限定期間中に申し込まないと折角のチャンスを失ってしまう!だから買わねば!という心理を突いてます。
おそらく、一番身近に存在するプロスペクト理論を活用したマーケティング事例です。

②ポイントサービス

これも小売業であればどこでも活用されていると思います。
このポイントには必ずと言っていいほど使用期限がありますよね。

そして、ポイントが失効してしまう頃を狙って「今月で〇〇ポイントの有効期限が失効します」なんてメールが届くと、「早くポイントを使わなきゃ!」という心理が働きます。

その為に、特に買うつもりはなかったのにポイントを使う為に何かしら購入してしまうというケースが多々あると思います。

まとめ

上記が行動経済学、そしてプロスペクト理論の概要になります。

プロスペクト理論をもっと詳しく説明するならば、『価値関数』と『確率加重関数』という2大柱を紹介する必要があるのですがここでは割愛します。

大事なのは、行動経済学を通じて『人間がモノを買う時の意思決定には、心理的にどのような傾向があるのか?』を掴む事です。
勉強すると本当に面白い学問なので、是非学んでみて下さいね。

 

 

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