
マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
今日は「内閣支持率」についてお話ししたいと思います。
先日、石破内閣の新しい支持率が各社から発表され、たとえば日本経済新聞では、ほぼ横ばいの33%と報道されていました。
内閣支持率は日経新聞だけでなく、さまざまなメディアが調査しています。「どれが一番正確なの?」「なぜこんなに数字が違うの?」といった疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
実は、数字自体はそれほど大きな差があるわけではありません。支持率が上がれば各社そろって上がり、下がれば各社そろって下がる傾向があります。とはいえ、ちょっとした差はありますよね。
そこで今日は、内閣支持率はどうやって調査しているのか、そしてそもそも正確なのかについて、マーケティングリサーチャーの視点から解説します。
※本記事の内閣名や支持率の数値は、動画収録当時(石破内閣)のものです。
▼動画でも解説しています
内閣支持率はどうやって調査している?
内閣支持率はさまざまなメディアが調査しているため、そのすべてをお話しするのは難しいのですが、今日は例として、NHK・朝日新聞・読売新聞・日本経済新聞の4社の調査方法を比較してみます。
まず調査方法ですが、4社とも電話調査です。
固定電話か携帯電話かは人それぞれですが、電話をかけて回答してもらう方法を取っています。
対象者条件は全国の18歳以上の有権者で、抽出方法には「RDD方式」を採用しています。
RDD方式とは
RDDとは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略です。コンピューターを使って数字を無作為に発生させて電話番号を作り、その番号に電話をかけ、出た人に答えてもらうという方法です。
昔は固定電話のみで行っていましたが、今では固定電話を持っている人も少なくなってきたため、最近は携帯電話の番号もこのRDD方式の対象にしています。
※無作為に対象者を選ぶ考え方については、こちらのブログでも紹介していますのでご覧ください!
各社で違うのは「サンプルサイズ」と「質問の仕方」
RDD方式による電話調査で、対象者は全国の18歳以上。ここまでは4社とも同じです。
違うのは、何人に聞いてデータにしているのかというサンプルサイズと、支持率を尋ねる質問の仕方です。
サンプルサイズの違い
NHKは毎回約1,200人に調査しています。朝日新聞は毎回異なりますが約1,100〜1,200人、読売新聞は約1,000人、日本経済新聞は約800〜1,000人です。
| 報道機関 | サンプルサイズ(目安) | 支持率の聞き方 |
|---|---|---|
| NHK | 約1,200人 | 「支持する/支持しない」の2択 |
| 朝日新聞 | 約1,100〜1,200人 | 「支持する/支持しない」の2択 |
| 読売新聞 | 約1,000人 | 曖昧な回答者に重ね聞きし、合算 |
| 日本経済新聞 | 約800〜1,000人 | 曖昧な回答者に重ね聞きし、合算 |
日本経済新聞だけ少し少ないですが、そこまで大きな差ではありません。NHKや朝日新聞は1,200人ほどと、そこそこ多いと言えます。
支持率の聞き方の違い
NHKと朝日新聞の聞き方は、ほぼ同じです。「内閣を支持しますか、支持しませんか」という2択で聞き、「支持する」と答えた人が全体の何%いるのかを計算して、それを支持率として発表しています。非常にシンプルですね。
一方、読売新聞と日本経済新聞は少し違った聞き方をしています。まず「支持しますか、支持しませんか」と聞くのですが、2択ではなく、おそらく「どちらとも言えない」といった選択肢もあるのだと思います。
そして、「どちらとも言えない」のような曖昧な答えをした方には、重ね聞きをします。「どちらかと言うと支持しますか、支持しませんか」「あなたのお気持ちに近いのはどちらですか」と聞いて答えてもらうのです。
最初に「支持する」と答えた方と、重ね聞きで「どちらかといえば支持する」と答えた方を合算し、全体の何%いるかを出す。これが読売新聞と日本経済新聞のやり方です。
どの調査方法が正しいのか?
では、どの質問の仕方がいいのか。正直に言うと、これはわかりません。リサーチの方法として、どちらが正しいということはないのです。
ただ一つ言えるのは、そう聞くと決めたのであれば、それをずっと踏襲しなければならないということです。
たとえばNHKが「読売新聞のやり方がいいから、次回からそうしよう」と変えることもできますが、質問の仕方が変わるとデータの連続性が失われます。質問の仕方を変える前と後の調査結果を、単純に比較することはやめた方がよい、ということになってしまうのです。
各社の支持率の数字にはそれほど大きな差はなく、支持率が上がれば各社とも上がり、下がれば各社とも下がります。
NHKが上がったのに朝日新聞は大きく下がった、ということはないと思います。ですから、どれが正解というわけではありません。
内閣支持率にはどのくらい誤差がある?
ただし、この調査はサンプリング調査なので誤差があります。日本全国の18歳以上の人口は1億人ちょっと。その中から1,000人や1,200人をサンプルとして抽出して回答してもらい、その結果から、全国の有権者のうち内閣を支持する人が何%くらいいるのかを推測しているわけです。
誤差の計算方法は少し難しくなるので今回は割愛しますが、おおよそ3〜4ポイント程度の誤差があります。
先ほどの日経新聞の調査結果では支持率33%でしたが、誤差を3ポイントとすると、当時の内閣支持率は30〜36%の間にあるだろう、と言えるわけです。
そのくらいの誤差であれば、あまり気にならないのではないでしょうか。これが誤差10〜20ポイントだったら問題です。誤差が20ポイントもあれば、支持率33%と出ても、実際には50%以上の可能性すらあることになり、まったく信頼できません。
しかし3〜4ポイント程度であれば、何かを判断する際に判断を誤ることはないと思います。
※サンプルサイズと誤差の関係については、こちらのブログで詳しく解説していますのでご覧ください!
RDD方式の電話調査が抱える問題点
ただ、この調査について一つ言っておくと、RDD方式の電話調査というやり方は変えてもいいのではないかとも思っています。
昔からRDD方式の電話調査を続けているので、先ほど申し上げた通り、方法を変えると過去のデータとの比較ができなくなってしまいます。変えるタイミングが見つからない、というのが各メディアの本音ではないかと思います。
しかし今や、電話調査をしても若い人たちは電話に出ませんよね。そうなると、たとえ1,200人に調査したとしても、その内訳が問題になります。本当に若い人たちも回答しているのか、もしかしたら年配の方々に偏っているのではないか。
年配の方々は固定電話を持っている方も多く、電話に出る確率も高いので、そうした偏りが起きていないかという疑問はあります。
ですから、将来どこかのタイミングでインターネット調査に変わるのではないかと思いますが、現時点では私自身、そんな疑問を持っています。
※各社の調査方法の違いや支持率の推移は、こちらの記事でも各社の数字を並べて紹介されています。
まとめ
今日のポイントは4つです。
- 内閣支持率は、各社ともRDD方式の電話調査で、全国の18歳以上の有権者を対象に行われている
- 各社の違いは、サンプルサイズと支持率の質問の仕方(2択か、重ね聞きをして合算するか)
- どの聞き方が正しいということはなく、大切なのは聞き方を変えずにデータの連続性を保つこと
- サンプル調査である以上、約3〜4ポイントの誤差があることを頭に入れておく
内閣支持率は、どの会社のやり方が正しくて、どの会社のやり方が間違っているとは言えません。そして、調査結果には必ず誤差があります。内閣支持率のニュースを見るときは、この2点を頭に入れておいてください。
よくある質問
Q1:内閣支持率は各社でなぜ数字が違うのですか?
A1:主な理由は、サンプルサイズ(回答者数)と、支持率を尋ねる質問の仕方が各社で少しずつ違うためです。NHKと朝日新聞は「支持する/支持しない」の2択で聞くのに対し、読売新聞と日本経済新聞は、曖昧な回答をした人に「どちらかといえば」と重ねて聞き、その回答も合算しています。
Q2:内閣支持率の誤差はどのくらいですか?
A2:1,000〜1,200人程度のサンプル調査の場合、おおよそ3〜4ポイントの誤差があると考えておくとよいでしょう。たとえば支持率33%と発表された場合、実際の支持率は30〜36%程度の範囲にあると考えられます。
Q3:どの報道機関の内閣支持率が一番正確ですか?
A3:どの調査方法が正しいとは言えません。大切なのは、一度決めた聞き方を変えずに続け、過去の結果と比較できる「データの連続性」を保つことです。各社の数字は、支持率が上がれば各社そろって上がり、下がれば各社そろって下がる傾向にあります。
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