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ChatGPTでアンケートの調査票を生成する~その方法と注意点~

  1. 0. マーケティング初心者必見

最終更新日: 2025年3月17日 by 渡邉 俊

こんにちは、マーケティングリサーチャーの渡邉です。
ChatGPTを始めとする生成AIの進化により、マーケティングリサーチの分野でもChatGPTを活用した業務の効率化が進んでいます。
私自身の仕事にも生成AIは手放せない存在でして、特にアンケートなど定量調査の設計においてはChatGPTは強力なツールとなり得ます。
しかし便利な反面、注意すべき点も多く存在します。そこでこの記事では、ChatGPTを使ってアンケートの調査票を生成する際の注意点について解説します。

ChatGPTが生成した調査票事例

まずお断りしておかなければならないのですが、この検証を行ったのは2025年3月であり、モデルは”ChatGPT 4o”を使っています。
今後さらに機能がアップデートされていきますので、皆さんが見ている頃には更に進化しているかもしれません。

このChatGPTを使って、あるランドセルメーカーの商品改善を行う為の顧客調査を行った際、調査票を作成してもらったのでその事例を紹介します。

ChatGPTで調査票を生成する為のプロンプト

まず調査票を生成してもらう為、まずは以下のようなプロンプトを作成してみました。
ちなみにプロンプトとは、ユーザーが入力するAIへの指示文を指します。

※本当はもう少しきちんとしたプロンプトを書かなければいけないのですが、ここでは手始めとして簡単な文章で書いています。
実際にプロンプトを書く際の注意点については最後に記載しています。

あなたはランドセルメーカーで働く商品企画者です。
近年ランドセルは”背負いやすさ”に加え”色”、”内容量”、”重さ”、”手入れのしやすさ”・・・などニーズは年々多様化しており、またママ友などからの口コミが購入ブランド選択に大きく左右することも分かっています。
その為あなたは、自社のランドセルを購入したお客様にアンケートを実施し、 その結果に基づいて自社ランドセルの商品改善を社長や役員に提案しようと思います。
あなただったらどんな調査票を作りますか?

ChatGPTからの回答

上記のプロンプトによりChatGPTから吐き出された回答が以下です。
そのまま貼り付けます。

ランドセルの購入者向けアンケートを作成し、商品の改善点やマーケティング戦略の強化につなげましょう。以下のようなアンケートを設計すると、消費者のニーズや満足度を把握しやすくなります。

ランドセル購入者アンケート
目的: お客様のご意見をもとに、より良いランドセルを提供するための参考とさせていただきます。

<基本情報>
○ご購入されたランドセルの種類(ブランド・モデル名)を教えてください。
【自由記述】または【選択肢(自社のラインナップをリスト化)】

○お子さまの性別を教えてください。
☐ 男の子 ☐ 女の子 ☐ その他/回答しない

○お子さまの学年(または購入時の学年)を教えてください。
☐ 年長 ☐ 小学1年生 ☐ 小学2年生 ☐ その他(自由記述)

<ランドセルの重視点や参考にした情報源>
○ランドセルを選ぶ際に最も重視したポイントを3つまでお選びください。

☐ 背負いやすさ
☐ 軽さ
☐ 色・デザイン
☐ 収納力(容量)
☐ 耐久性
☐ 価格
☐ 手入れのしやすさ
☐ ブランド・メーカーの評判
☐ その他(自由記述)

○購入を決定する際、最も参考にした情報源は何ですか?

☐ 公式Webサイト
☐ 店舗での実物確認
☐ 口コミ(ママ友・知人)
☐ SNS(Instagram・X など)
☐ YouTubeのレビュー動画
☐ 比較サイト・ランキング
☐ 学校・幼稚園からの案内
☐ その他(自由記述)

<購入したランドセルの満足度>

○ランドセルの満足度を教えてください(5段階評価)

😃 😐 😟(5: とても満足 ~ 1: とても不満)

○満足しているポイントは何ですか?(複数選択可)

☐ 背負いやすさ
☐ 軽さ
☐ 色・デザイン
☐ 収納力
☐ 耐久性
☐ 手入れのしやすさ
☐ その他(自由記述)
改善してほしい点はありますか?(自由記述)

○実際に使用してみて「こういう機能があればもっと良かった」と思う点はありますか?(自由記述)

<口コミ・紹介について>
○ランドセル購入後、他の方にオススメしたいと思いますか?(5段階評価)

⭐⭐⭐⭐⭐(5: ぜひすすめたい ~ 1: まったくすすめたくない)

○もしオススメするとしたら、その理由を教えてください。(自由記述)

○今後、どのような情報発信があればランドセル選びの参考になりますか?(複数選択可)

☐ 公式Webサイトでの詳しい説明
☐ SNSでの使用感レビュー
☐ YouTubeでの紹介動画
☐ 実店舗での試着イベント
☐ その他(自由記述)

<最後に>
○今後のランドセル開発の参考にさせていただきたいので、ご意見・ご感想があればお聞かせください。(自由記述)
ご協力ありがとうございました!

いかがでしょうか?なかなか良い調査票が出来上がったのではないかと思います。
少し前の生成AIでは使い物にならないような調査票が吐き出されていたのですが、数年の間にかなり発達しました。
ただこれでもOKと言えばOKなのですが、細かい所で修正したくなる点がいくつかありますよね。

私もこれまでChatGPTで調査票を作成してきましたが、生成AIを使う時の注意点を私の経験に基づいて以下にお話します。

ChatGPTで調査票を生成する時の注意点

ChatGPTが作ったアンケートは『たたき台』

ChatGPTのアンケートはあくまで『たたき台』だと割り切った方が良いと思います。完全な形ではなく、70点程度の完成度のものを吐き出してくれれば十分です。
上記のように、ChatGPTが生成したアンケートは基本的な設問構造は整っているものの、選択肢のバランスが取れていなかったり、少し専門的な視点が欠けていたりすることが多いです。
そのため最終的な品質を担保するには、人間が追加の30点を補うことが重要だと思います。

<AIが得意な部分>

  • 基本的な質問の構成:ChatGPTは定量調査の基本的な質問項目を短時間で生成できます。
  • 言葉の流れが自然:文法的なミスが少なく、読みやすい文章を作ってくれます。
  • 質問のバリエーションを提案できる:複数の質問候補を一度に出すことが可能です。

<AIが不得意な部分>

  • 質問の精度が不十分:適切な回答選択肢が不足していたり、質問が曖昧だったりすることがあります。
  • 業界特有の事柄を考慮しない:専門的な視点が欠けることが多く、その業界の知識が必要な質問は人間の手で修正する必要があります。

ChatGPTの仮説は『一般論』

ChatGPTは一般的な情報に基づいて仮説を立てることが得意ですが、その情報の多くはインターネット上に広く存在する公開データや文献に依存しています。
そのため、最新の市場動向や特定の業界に存在している事情には対応しづらく、業界特有の詳細な仮説や市場の変化を加味することは苦手です。
更にAIは統計的に頻出する情報を基に仮説を生成するため、新規性のある視点や独自の知見を提供することが難しくなります。
従いまして調査票を作成する際にはChatGPTが提示する仮説だけでなく、調査を担当する人自身が持っている仮説も追加することが重要です。

<ChatGPTが出す仮説の特徴>

  • 既存の知見に基づいた「無難な」仮説を提示する
  • 一般的な傾向に基づいた内容になりがち
  • 具体的な業界特有の課題を考慮できない

『ハルシネーション』に注意(生成AIは嘘をつく)

生成AIを利用する際の大きな問題のひとつに『ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成すること)』があります。
これはAIがデータの不足や曖昧な文脈を補完しようとする際に発生する現象であり、調査票の設問に誤った情報が含まれるリスクを高めてしまいます。例えば、AIが過去の統計データを推測で補完する場合や、確証のない事実を断定的に述べる場合に起こりやすくなります。

ハルシネーションが起こる例

  • 実際には存在しないデータを提示する
    例:「最新の調査によると、○○の市場は前年比20%成長しています」といった根拠のないデータを示す。
  • 論理的に破綻した質問を作る
    例:「あなたの現在の年収は100万円未満ですか、それとも500万円以上ですか?」のように不自然な選択肢を生成する。
  • 矛盾する質問を含める
    例:アンケートの前半と後半で異なる定義を使ってしまう。

おススメ:ハルシネーションをAI自身にチェックさせる

ハルシネーションを防ぐ為には人間の目でチェックする必要がありますが、もう1つ有効な手としてChatGPT自身にチェックさせて修正させることも可能です。要するに調査票が生成されたら、『一度中身を確認して、誤情報などがあったら修正をお願いします』というプロンプトを作ればChatGPT自身がハルシネーションの部分を修正してくれます。これは絶対にやった方がお得です。

調査票生成プロンプトを作成する際のポイント

先ほどは少し適当にプロンプトを作ってしまいましたが、このプロンプトの設計次第でChatGPTの出力の質が大きく変わります。
どのようにプロンプトを作成してChatGPTに指示するか?これについてポイントをまとめましたのでご参考にしてください。

1. 調査目的を明確にする

ChatGPTに的確なアンケートを作成させる為には、まずは調査の目的を具体的に伝える必要があります。
例えば、『スキンケア商品についてのアンケートを作って下さい」だと、スキンケアの何を調査したいのかが明確でないのでChatGPT側も的確なアウトプットが出せません。
例えば『新しく発売するスキンケア商品が、20〜30代女性にどのように受け入れられるかを知るためのアンケートを作成してください。』という風に調査によって何が知りたいのかをきちんとプロンプトに書きましょう。
基本的に具体的にするポイントは以下です。

 

●何を知りたいのか?(ブランド認知度・購入意向・利用満足度など)
●誰が対象なのか?(年齢・性別・居住地・職業など)
●どのようなアクションにつなげたいのか?(改善点の発見・ターゲット層の絞り込みなど)

2. 回答者の負担を考慮する

別のブログでも書いていますが、アンケートの質問が多すぎると当然回答率は下がります。そのため、適切なボリュームに抑えることが大切です。
しかし調査目的が細かかったり、また複数あったりすると質問の数は多くなります。その為、最初からプロンプトに『20問以内で作成してください』などと指示をしておく必要があると思います。

※ご参考に、アンケートの回答者負担についてはこちらのブログでも触れています。

3. 質問の論理的な流れを作る

以下のブログでも書いていますが、アンケートは事実を回答する質問から始めて徐々に核心を突く質問をしていくという流れが適しています。
『あなたはなぜこの商品を買ったのですか?』など回答者が頭の中を整理しなければ答えられないような質問を冒頭でしてしまうと、回答者は困ってしまいますし回答へのモチベーションも無くなります。

※質問の順序についてはこちらも参考にしてください!

あくまで例ですが、クルマに関するアンケート調査の場合は、
1. 回答者の属性情報 (性別、年齢、居住地・・・etc)
2. 事実を聞く質問 (現在所有しているクルマの名前、購入した時期、そのクルマの満足度・・・etc)
3. 考えてもらいながら回答する質問 (所有しているクルマのイメージ、それ以外のクルマのブランドイメージ・・・etc)
4. クロージング (最後にご自身のクルマについて何かご意見有ればこちらにご記入ください・・・etc)

という感じでしょうか。

4. 出力フォーマットを指定する

またChatGPTの出力を整えるために、フォーマットを指定すると後処理が楽になります。
例えば、

以下のフォーマットで出力してください。
・質問文(回答形式)
・選択肢(該当する場合のみ)

例:Q1. あなたの性別を教えてください。(単一選択)男性
女性
その他
回答したくない」

こうするとChatGPTの出力が整理され、編集しやすくなります。

 

5. ChatGPTに「改善提案」もさせる
ChatGPTにアンケートを作らせた後「このアンケートの改善点を提案してください」と追加のプロンプトを入れると、より精度の高いアンケートを作成できます。

まとめ

いかがでしょうか?
ChatGPTを活用すれば定量調査の調査票の作成を効率化できますが、先ほども申し上げた通り完ぺきではありません。
今後AIの技術は更に発展していくと思いますが、『AIに全てを丸投げ』するのは時期尚早です。
最終的なクオリティを担保するのは人間の役割です。適切に活用し、より良いアンケート調査を実現しましょう。

 

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