マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
いつも言っている通り、このサイトは初めてマーケティングリサーチというものに触れた人が『自前』で『安価』にリサーチできるようにする為の学び場です。
じゃあ、誰かに調査を委託してはいけないのか?と言われると、そういう訳ではないです。
ただ、自分でできるようになると色々とメリットがありますし、調査をやると誰もがぶち当たる悩みを解消できたりもします。
今日はこれについて説明いたします。
調査は自分でやった方がいい理由
最初に申し上げておきたいのは、僕は『調査会社なんて当てにするな!』なんて全く言ってません。
調査会社はマーケティングリサーチのプロ集団です。
彼らに依頼をすればプロの視点で調査設計をし、プロの手で実査を行い、プロの分析をやってくれます。
ただ、長年リサーチをやっていると『他人に頼むことで生まれるデメリット』というのがあります。
1. 『不都合な真実』にも素直に向き合える
自分でリサーチをやった方がいいと思う一番の理由はこれです。
リサーチをやると、受け入れたくないような事実の出てくることが頻繁にあります。
そしてそれを他人から見せられると、人間は目を背けたがるという心理があります。
僕も先日、ある企業のブランドイメージ調査を行いました。
その企業は1年間結構な金額を投資してイメージ向上活動を行ってきたのですが、結果としてはスコアが昨年よりほんのちょっと良くなっただけでした。
当初掲げていた目標に到達せず担当者はかなり頭を抱えていましたが、そんな時7~8割の方が同じような反応をします。
それは、
『これ、調査設計は本当に正しいの?』
『データの処理の仕方が間違ってない?』
『この調査は信じるべきものなの?』
という風に調査結果そのものを疑ってくるのです。
おそらく調査会社に勤めている方であれば共感していただけるはずの『マーケティングリサーチあるある』です。
こういうのを心理学では『認知的不協和』と言います。
『自分の信念や行動』が『新しい事実』と矛盾している時、『新しい事実』を否定して矛盾による不快感を解消しようという心理ですね。
よくある例がタバコです。
愛煙家が『タバコを吸うと肺がんになりやすい』という事実を聞くと、『愛煙家で長生きしている人もたくさんいるじゃないか!』という感じで矛盾を解消しようとしますよね。
これは、
【自分の信念、行動】タバコをこよなく愛して吸っている
【新しい事実】タバコを吸うと肺がんになりたすい
⇒【事実の否定による矛盾解消】愛煙家で長生きしている人もたくさんいるじゃないか!
という風に、肺がんに対するタバコの影響の事実を否定しにかかっている事になります。
私も昔タバコを吸っていたのですが、同じようなことを言ってました(笑)
今回の例も、
【自分の信念、行動】1年間ブランドイメージ向上活動を頑張ってきた
【新しい事実】活動をやってもイメージスコアは向上しなかった
⇒【事実の否定による矛盾解消】調査設計が間違っていたのではないか?
という調査結果に対する認知不協和なのです。
このように他人(調査会社)から不都合な結果が出てくると、その人の調査設計やデータ処理の仕方を疑ってしまいがちです。
しかし自分が責任を持って行った結果であれば、人は余程の事がない限り信用せざるをえません。
他人が見た幽霊話は信じにくいですが、自分が実際に見た幽霊は信じますよね(笑)
だから調査も自分でやった方が結果を受け入れやすくなるのです。
調査会社に高いお金を払ってリサーチしてもらった結果を信用しないのであれば、自分で調査して納得する方が良いと思いませんか?
2. ほとんどのケースはそこまでハイレベルな調査を必要としない
一般的にアンケートなどの定量調査は統計学の知識を必要とすると言われます。
基本的にデータを集計して数字を分析しなければいけませんからね。
そして因子分析、コレスポンデンス分析、クラスター分析・・・などの高度な分析を行うのであれば、SPSSやRといった統計分析の専門ソフトを購入する必要があります。
ただ、私も長い間リサーチを行っておりますが、普通の会社の経営判断やプロジェクト判断に上記の様な難しい統計分析を必要とするケースはほとんどありません。
四則計算(足し算、引き算、掛け算、割り算)さえできればアンケート調査の分析はできますし、それだけで新しい発見をすることも十分可能です。
ですから、本当に高度な統計分析を必要とするのならばどこかに委託した方が良いと思いますが、そうでなければエクセルさえ使えればどうにでもなります。
(言い換えれば、調査の集計分析にエクセルは最低限必要なので、使ったことがない方は是非1度使ってみて下さい。)
因みにマーケティング初心者の方が陥りやすい『マーケティングの8つの誤解』を無料メール講座にまとめています。こちらも是非購読して知識を深めて下さい。
3. スピーディにPDCAを回すことができる
最後に『時間』ですね。
経営のスピード化というのがどの企業でも課題になっています。
ですが、マーケティングリサーチをきちんと行うには設計、実査。分析というステップを踏まなければいけないので結果が出るまで多少時間がかかります。
もっと言えば、調査会社に依頼するとなると、どんな調査をしたいのか、それにはどんな背景があるのかなどを説明する時間も必要です。
これがあいまいだと、結果が出たあとで『依頼したデータが出ていない!』とか、『こんな調査を頼んだ記憶はない!』などといったトラブルが発生します。
実際に説明が不十分だったり、クライアントと調査会社の意思疎通が取れていなかったりで起こるトラブルはかなり多いです。
高度な設計や分析を必要とする場合は別ですが、そうでなければ自分でやった方がスピーディに調査できますし、トラブルも発生しません。
まとめ:自分の行動に勝るものはなし!
いかがでしょうか?
先程も言った通り、上の3つの理由の中で一番大きいのは”1.『不都合な真実』にも素直に向き合える”です。
調査というのは結果が信じられなければやった意味がありません。
その調査にかけた時間とお金が無駄になってしまいます。
是非自分でマーケティングリサーチができるようになって素直に信じる事のできる結果が得られるよう、このサイトで勉強して下さい!