マーケティングリサーチの学び場『Lactivator』代表。自動車会社でマーケティングリサーチに従事後、誰でも気軽にマーケティングを学べる場として2012年に本サイトを開設。また故郷:群馬県の活性化の為、2013年より上毛かるたの日本一決定戦『KING OF JMK』を主宰。著書『上毛かるたはカタル』も発売中。
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こんにちは!
マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。
今日は『統計学を使って行った予測が外れることはあるのか?』についてお話ししたいと思います。
アンケートなどの定量調査では、取得したデータを統計的に分析するのが基本です。
そしてそのデータを基に
・A、B、Cの3つの商品の中でどれが一番売れそうか?
・将来、その商品の売り上げはどう変化していくのか?
を予測したりします。
しかし、これらの予測はどの程度の確率で外れるのでしょうか?
今日はその素朴な疑問についてお話ししたいと思います。
【結論】『予測』には外れることも加味されている
まず結論から言うと、統計学的に計算した値から実際の結果が外れることはあり得ます。
A、B、Cを比較して、『Aが一番売れそうと判断したのに実はCが一番売れた』なんて事もあり得ます。
ですから、それを『外れた』というのであれば外れることはあります。
『予測』には確率と範囲がある
但しここで忘れてはいけないのは、予測には確率と範囲があるということです。
通常、これまで蓄積したデータを基に将来の事を予測する際は「X%の確率でこの範囲に入る」という風に表します。
これは言い換えると、『(100-X)%の確率でその範囲を逸脱する』と言っている訳です。
例えばマーケティングリサーチの結果を用いてある商品の販売予測をする際、
『95%の確率で1万個±500個になる』
という言い方をします。
要するに95%の確率で9500個~10500個売れるが、5%の確率で10500個を超えるか、もしくは9500個未満になるという事になります。
従いまして、統計による予測と言うのは『外れる確率も加味している』のです。
結果が予測範囲外でも『外れた』訳ではない
上記の通り、実際の値が予測範囲から逸脱したことを『外れた』と表現するのであれば、統計学をつかった予測は外れる事があると言わざるを得ません。
しかし『95%の確率で1万個±500個になる』という予測は、5%の確率でその範囲から外れるということなので、もしそれが起きたとしてもそれは『5%のことが起きた』と説明できているわけです。
という事は『予測が外れた』訳ではないのですよね。
何だか政治家の逃げの答弁のような感じを受けるかもしれませんが(笑)、でもそういうことなのです。
従いまして、大事なのは予測範囲内の事が必ず起こる事を前提にビジネス判断するのではなく。5%は外れる可能性を受け入れて意思決定する事が必要です。
統計学を使ってこそ『予測』と言える
予測と予想
将来どうなるか、3つの商品の中でどれが一番売れるかに対して何かしら答えを出す際、その人の経験や感覚、もしくは勘で答えを出すこともあります。
もちろん感覚の鋭い人であれば的中するかもしれませんが、他の人には同じ真似はできないですよね。
また外れてしまった場合には、「あ~外れちゃった」で終わってしまいます。
経験や感覚、勘で出した答えが間違っていても何も議論できず、次に同じような予測をする際には修正ができません。
これでは予測ではなく『予想』です。
予想はその結論に至るまでのプロセスがあいまいで、かつ数字の裏付けがないのです。
統計学をつかって将来を占う
しかし統計学を用いた『予測』が外れたときには修正ができます。
その予測に至るまでの計算プロセスを見直し、数式のどこが悪かったのか、どのようにすればよいのかを議論できます。そしてそれを次の予測に活かすことができる訳です。
将来がどうなるかが分かれば予測など必要ありません。
将来がどうなるかは誰も分からないから、予測をして意思決定し行動するのです。
しかし予測には確率と範囲があって、実際の結果がその範囲から外れることもありえます。
これを理解したうえで、予測を活用していく必要があります。