舐めてかかっちゃいけないマーケティングの『4P』

マーケティングリサーチャーの渡邉俊です。

今日はマーケティング戦略を勉強する上で基礎となる
『マーケティングミックスの4P』
についてお話しますね。

この『4P』という言葉
少しマーケティングを勉強した事のある人なら
知っている方もいるのではと思います。

巷で売られているマーケティングの本を見れば
だいたい最初のページあたりに書いてありますからね。

だから、ちょっと知っている人がこのブログのタイトルを見ると
「な~んだ、4Pの話かぁ。私は知ってるからこれは読まなくていいや」
と思うはずです。

しかし、タイトルにも書きましたが舐めてかからないで下さい。
何事も基本が大事です。

世の中のマーケッターの中でも
4Pをきちんと理解して活用している人はかなり少ないです。

そして、この基本をきちんとマスターしておかないと
マーケティング戦略は確実に失敗します。

だから今日『4P』という言葉を初めて知った方は
是非きちんと覚えて、きちんと活用してください。

また知っているけどきちんと活用できてないという方は
ここでもう1度しっかり学びましょう。

 

そもそも4Pって何?

お客様に自分の商品やサービスを買ってもらいたい時
当たり前のことですがきちんと戦略を考えないといけません。

何をいくらで、どんな風に売るか・・・

いわゆるそれが『マーケティング戦略』なのですが
その戦略を立てる上で重要となる4つの要素の事を
4P(マーケティングミックス)と呼びます。

  • Product(商品)
    ・・・商品コンセプト、仕様、ラインナップetc
  • Price(価格)
    ・・・定価、支払方法etc
  • Promotion(広告宣伝、プロモーション)
    ・・・広告媒体、キャッチコピーetc
  • Place(流通)
    ・・・販売場所、チャネルetc

具体的には、この4つのPの事を指します。

要するに、商品やサービスを売る側が
自由にコントロールできる要素を指しています。

しかし言い換えれば、

これらを如何にして戦略的にコントロールするかが
売れ行きを
大きく左右させる訳です。

 

4Pでわかる成功したマーケティング戦略

例えばですが、マーケティング戦略で成功した事例として
花王(株)が2003年に発売した「ヘルシア緑茶」があります。

中高年のそろそろ健康に気を使い始めたビジネスマンをターゲットに
開発された商品ですが、その戦略を4Pで説明してみますね。

 

製品(Product)

コンセプトは「体脂肪を燃焼させるお茶」です。

お茶にカテキンと呼ばれる物が含まれていますが、
これは体脂肪を燃焼させる効果があります。

通常、茶カテキンを高濃度に含んだ緑茶はかなり苦いのですが
花王はこの問題を解決して商品化したのです。

さらに、花王はヘルシア緑茶の健康機能を積極的に訴求する為
厚生労働省から「特定保健用食品」(特保)の認可を受けました。

価格(Price)

なんと、350ml入りペットボトルで180円。
他のお茶は500mlで100円~130円程度なので
これは緑茶飲料としてはかなりの高価格設定です。

一見すると思い切った戦略のようにも見えますが
特保の認定を受けていて普通の緑茶よりも高い価値が
付加されていますし、

何よりも、普通の緑茶より多少高い方がより体に効果的だと
お客様に思ってもらえます。

そんな顧客心理を考慮して、このような高価格にしたんですね。

流通(Place)

この商品、コンビニエンスストア専用商品です。
何と、スーパーや他の小売店などでは売らなかったのです。

もっとたくさんの場所で売ればいいのに・・・と思うかもしれませんが
この商品のターゲットは多忙なビジネスマンです。
スーパーにはほとんど立ち寄らない事でしょう。

しかし、コンビニの店頭で販売されているのであれば
毎日手にすることが容易であると考えたのです。

プロモーション(Promotion)

「体脂肪が気になる方に」という分かりやすいコピーを打ち出し、
積極的にテレビ広告を投入しましたが、
コンビニ各社と交渉してレジの横に陳列してもらった事が
かなり効果としては大きかったようです。

実際、発売後に花王が行った調査によると、
コンビニの店内で商品の事を知ったという方が、テレビ広告で知った方より
多かったという結果が出たそうです。

これが販売促進の追い風となったようで、ヘルシア緑茶の認知度は
大きく上がっていきました。

このようにして、花王にとっては新規参入の飲料市場でしたが
2003年5月に発売後、10ヵ月で約 200億円の売上高を達成したのです。

 

大事なのは『ターゲットカスタマー』の存在

こんな形で、成功した商品というのは4Pをベースに
マーケティング戦略が練られています。

 

でも、4Pが重要なのはわかったけど、
それぞれのPの戦略をどうやって設定すればわからない?と
思うかも知れません。

 

そこで重要になってくるのが『ターゲットカスタマー』です。
要するに「どんな人に商品を買ってもらいたいのか?」という事です。

 

順番としてはまず、

  • ターゲットカスタマー:どんな人に商品を買ってもらいたいのか?

を決めてから、

  • そのターゲットカスタマーに買ってもらう為の4Pを考える

という事になります。

 

ヘルシア緑茶の場合もまず最初に

『中高年のそろそろ健康に気を使い始めたビジネスマン』

というターゲットカスタマーを設定しました。

そして、この人達に買ってもらう為に、

  • Product・・・特保認定を受けた「体脂肪を燃焼させるお茶」
  • Price・・・かなり高めに価格設定をして効果を演出
  • Place・・・コンビニエンスストア専用商品(スーパーには置かない)
  • Promotion・・・コンビニのレジ横に陳列

という戦略を取ったのです。

特保認定されていてかつ価格も高ければ
効果はお墨付きですし、
ビジネスマンが立ち寄りやすいコンビニに集中させることによって
一気に知名度を伸ばしました。

このように、ターゲットカスタマーを軸にして
それぞれのPをどのようにすればこの方達に買ってもらえるか?を
考えていく事が4Pでマーケティング戦略を作る際のコツです。

 

マーケティングリサーチで4Pをブラッシュアップする

そう簡単にモノは売れない

しかし、実際に4Pでマーケティング戦略を作り実行してみると
なかなかうまく行きません。

そう簡単にモノは売れないのですよね。

ただしそこで諦めたらダメで、
4Pは定期的にブラッシュアップさせていくことが重要です。

具体的には、マーケティングリサーチを行うことによって
それぞれのPの何がどのように悪いから売れないのかを検証するのです。

PDCAサイクルの必要性

PDCAサイクルとは業務を継続的に改善する手法であり

Plan(計画)
Do(実行)
Check(検証)
Act(行動)

の4ステップを指します。

要するに4Pで計画したマーケティング戦略は、
実行したら必ず検証して、改善アクションを考える必要があります。

4Pで戦略を作ったら終わりではなく、
必ずリサーチによって検証を行い、ビジネスをどんどん
前進させていくようにしましょう。

 

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